NTT ComのEnterprise CloudはOpenStack技術、SDN技術を採用したハイブリッドグラウドサービスです。他社クラウドを含む、多岐にわたるIT基盤を統一的に可視化し、セキュアで効率的な運用管理を実現できることが特長となっています。さらに世界11拠点にデータセンターを展開し、データの保存先を選べることも強みの1つです。
しかしNTT Comの小山和邦氏は、Enterprise Cloudのサービス規模が拡大するにつれて、徐々に看過できない問題が、現場で生じてきたと語ります。
「これまでは、監視システムからの警報通知を受けた場合、オペレーターが手順書を参照し、復旧措置をするという人手による対応を行ってきました。
しかし、サービス拡大による設備数の増加に比例して、故障件数も増加してしまいました。さらに、サービスメニューも増えたため、手順書が5,000ページにも達していました。このような背景の中、従来のやり方では運用が回らない状況になっていました」

同社は当初、オペレーターの増員や保守プロセスの改善ツール開発による効率化といった対策で、この窮地を乗り越えてきました。しかし、規模拡大が続く状況では焼け石に水で、いずれ人手の対応では限界を迎えることは明らかでした。
「そこで、規模が拡大しても稼働が増えないような仕組み作りを考えました。故障発生から復旧まで、運用保守の全プロセスを自動化する『ゼロタッチオペレーション』の仕組みを作ることを目標に定めたのです」(小山氏)

小山氏はゼロタッチオペレーションを実現するためには、クラウドプラットフォームに2つの重要な機能があると指摘します。1つは、10以上のオペレーションシステムと連携できる機能、2つ目が、警報情報・構成情報・機器情報などのそれぞれ異なる形式を持つ、膨大なデータを一元管理できる機能です。
いくつかのクラウドプラットフォームを比較した結果、この2つの条件を満たしたのが、ServiceNowでした。
「弊社が導入したのが、『ServiceNow ITOM(ITオペレーションマネジメント)』です。操作性、拡張性、保守性の高さも、私たちの希望と合致しました」
