GCP上に実装されたデータ利活用プラットフォーム「セブンセントラル」は、全国の店舗の POS データをはじめとした有用なデータをデータレイクに集約。データウェアハウスで分別を行い、データマートで加工してAPI 経由でデータを提供することで、各利用者の要望に迅速に対応できるようになっています。
「セブンセントラルは、シンプルな3つの構成となっています。例えると、データレイクが漁でとってきた魚を丸ごと入れる生け簀、データウェアハウスが魚をアジ、イワシ、サケといった種類に分けて冷凍保管する冷蔵庫、データマートが魚を三枚おろしにして汎用的な食材として提供する鮮魚店です。料理を利用者に託し、ロジックを加え過ぎてサイロ化、肥大化したシステムと同じ轍を踏まない設計になっています」(西村氏)
セブンセントラルの構成イメージ

セブンセントラルの稼働により、必要なデータの入手に要する時間が劇的に短縮されました。
「早くても翌朝にしか手に入らなかった店舗データが、いまでは最短1分で入手できます。これまで不可能だったリアルタイムでの在庫確認ができるようになり、お客さま向けアプリの利便性が大きく高まるといった効果も出ています。2万を超える多店舗から一気にデータを吸い上げ、手軽に取り出せるデータ利活用基盤は他に存在しないと、Googleからのお墨付きももらいました。シンプルながら、かなり独自性、先進性のあるプラットフォームになったと自負しています」(西村氏)
全国の店舗とGCP上のセブンセントラルを結ぶFICも閉域、広帯域の特性を生かし安定稼働を続けています。現場でプロジェクトの指揮を執ったシステム本部の佐藤毅氏は、FIC導入におけるNTT Comのプロジェクト遂行力と知見を高く評価します。

株式会社セブン-イレブン・ジャパン
システム本部
佐藤 毅氏
「NTT Comには、導入段階からネットワークに関係ないアプリケーション領域の会議にも入っていただき、細かいところまで詰めた設計できたおかげで、リリース後は大きな問題もなく安定稼働しています。障害発生率が低いことに加え、障害発生時の復旧も早い。長年、店舗ネットワーク運用管理で培ったエスカレーションの知見がフルに活かされていると感じています」(佐藤氏)
将来的にセブン-イレブンでは日本国内に3万店舗の出店を計画しています。この計画を踏まえてFICが安全面、帯域面を考慮したゆとりある設計になっていることも安定稼働の一因と言えるでしょう。
今後DXを推進し、新たなサービス創出・拡充などを加速していくためには、セブンセントラルが不可欠のプラットフォームになりそうです。また、NTT ComやFICに対する期待も高いと西村氏は語ります。
「今後も汎用性、即時性、独自性の3原則に基づき、ステイクホルダーからのリクエストも聞きながら、セブンセントラルにデータを集約していくことで、ラストワンマイルのサービス拡充に取り組みます。現在はGCPのみですが、将来的には、他社クラウドサービスなどもFICで相互接続する計画です。NTT ComのAI、IoTといった豊富なテクノロジー、知見も活用し、共創による新たな価値あるサービスの創出にも挑戦していくつもりです」(西村氏)
サイロ化、肥大化したレガシーシステムでは、DXに資するデータの見える化、利活用は困難です。思い切ってクラウドにデータを集約し、安全安定なデータ流通を実現することがDX推進の第一歩と言えるかもしれません。