管理と申請という業務を自動化した後は、サードステップとして“紙”を使った業務のデジタル化を図るべき、と楠木氏は指摘します。たとえば、いまだに根強く残る顧客・代理店とのFAXによる受発注業務、あるいは紙資料を使った社内稟議や決裁の回覧なども、この機会にデジタル化を図るべきとのことです。
「ServiceNowとインターネットFAXサービスを連携することで、FAXによる受発注業務のデジタル化・ペーパーレス化が可能です。FAXデータをServiceNowの構造化されたデータベースに格納し、代理店、顧客、問い合わせデータなどと紐づければ、一元的に管理できます。
さらにServiceNowと発注システムを連携させれば、発注内容にもとづき発注処理をかけるプロセスも自動化できます。これにより受発注担当者の出社が不要になり、FAXによる受発注業務を自宅などのリモートで対応できるようになります」(楠木氏)
デジタル化した後の紙資料は、容量無制限のクラウドストレージであるBoxに格納し、VPN経由で閲覧、回覧する仕組みをつくれば、ロケーションを問わずにマルチデバイスからセキュアなアクセスが可能になります。
「Boxを活用することで紙資料をデータ化し、ServiceNowを組み合わせれば、要件に応じた透視的なポータルが容易に構築できます。システムや部門をまたがる業務プロセスも自動化できます」(楠木氏)
紙を使った業務と切っても切れないのが、押印のプロセスです。たとえばNDA締結では、従来は営業担当が紙で文書を作成し、受け取った法務担当がチェックして押印した後、顧客を訪問して押印をもらい文書を保管するといった、非常に時間と手間なプロセスが発生していました。
「このようなNDA締結のアナログなフローもBoxとServiceNow、電子署名サービスを組み合わせることでデジタル化できます。ServiceNow上のサービスポータルからNDA署名申請の依頼を受けた法務担当者が電子署名を行うと、そのままお客さまへ通知。お客さまの法務担当は内容をモバイルで確認して電子署名すればNDA締結文書が完成し、自動的にBoxに保存されるというフローです。これはNDA締結に限らず、お客さまとの見積書、契約書、パートナー企業との設計書などでも幅広く活用できます」(楠木氏)