ファイル共有のクラウドサービスとして、多くの企業で導入されているのが、「Box」です。
Boxの基本機能は、クラウドを利用したファイルの共有ですが、同サービスの提供元であるBox社では、この仕組みを利用した新たなサービスを提供しています。それが、企業が独自に開発したアプリケーションやシステムにBoxを組み込む「Box Platform」です。
NTTテクノクロス株式会社(以下、NTTテクノクロス)も、自社サービスにBox Platform を採用した企業の1つです。同社が2020年12月にスタートしたクラウドサービス「ISO楽!(イソラク)」に、Box Platformが組み込まれています。
なぜ同社は、新たなサービスにBox Platformを利用しようと考えたのでしょうか?そして、Box Platformを用いることで、どのようなことが可能になったのでしょうか? NTTテクノクロスの伊藤聡氏、北畠國義氏に話を聞きました。
ISO取得・更新の手間はクラウドで省略できる
NTTテクノクロスは、12月14日より「ISO楽!」というサービスをスタートしました。ISO楽!は、ISO/IEC 27001(以降ISMS)認証を取得した企業に対し、継続更新・運用を支援するクラウドサービスです。このサービスに、Box Platformが組み込まれています。
ISMSは、適切な文書管理や情報漏えいリスクの低減、文書管理業務の効率化などを目的とした国際規格で、国内では現在5000以上の組織が認証を取得しています。
ただし、ISMSは1度取得して終わりではありません。取得後は維持審査を受ける必要があるため、基本方針や文書管理のためのプロセスの導入後は、それらの実施状況をチェックし見直すというPDCAサイクルを回す必要があります。さらに、有効期限である3年を超えても認定を維持するには、更新審査を受ける必要があります。ISMSの維持審査や更新審査への対応は、企業にとって大きな負担となっています。

NTTテクノクロス株式会社
戦略ビジネス特区
主席コンサルタント
ISMS審査員補
伊藤聡氏
ISO楽!は、こうした企業の負担を軽減するサービスとなります。ユーザーがISO楽!のクラウドにファイルをアップロードすると、ISMSの認証更新に必要な書類の更新漏れや未提出状態をチェックし、担当者に自動で通知する機能を搭載しています。さらに、NTTテクノクロスのコンサルタントが、クラウドにアップロードされたISMSに関する文書内容を確認し、確実な認証更新を支援するサービスも用意されています。
「我々は2004年にQMS/EMS/ISMSの統合マネジメントシステムを国内で初めて導入し、現在はプライバシーマークを含めた4規格に拡張するなど、積極的に情報管理や品質管理に取り組んできました。従来、これらの取り組みで得たノウハウをコンサルティングサービスとして提供していましたが、新たにISMS取得後の課題を解決するサービスとしてISO楽!を開発しました」(伊藤氏)
しかし、ISO楽!のサービス開始までには、1つ大きな課題があったといいます。
ISO楽!のサービスの仕組み