働き方改革や新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、多くの企業でテレワークが浸透し、それに対応するためのITインフラの強化が求められています。
また増加し続ける悪質なサイバー攻撃に対抗するためのセキュリティ対策の強化や、クラウド利用の増加によるインターネットトラフィックの増大への対応に頭を悩ませている企業も少なくありません。
このような状況を打破する一つの手段として、セキュリティとネットワークのそれぞれの機能を統合し、クラウドサービスとして提供する「SASE(サッシー)」というコンセプトに注目が集まっています。
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)では、このSASEの実装計画コンサルティング、導入から運用までを支援する「統合セキュリティネットワーク(SASEソリューション)」を提供しています。同社は2020年11月26日、オンラインセミナー「企業のゼロトラストを実現するNTTコミュニケーションズのSASEソリューション」を開催。このセミナーからソリューションの内容について紹介していきます。
「SASE」は“つぎはぎだらけ”のIT環境を改善する
セキュリティ対策やインターネットトラフィックの問題など、企業がITインフラに抱える問題はさまざまです。これまでは、課題ごとに対策を講じ解決していくケースがほとんどでしたが、NTT Comの城征司氏は個別システムの導入で問題を先送りにすべきではないと指摘します。

NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
城征司氏
「個別システムの導入で課題に対処していると、やがてシステムが乱立し複雑な運用体制ができあがってしまいます。この状態ではポリシーを統一することが難しく、利便性やセキュリティレベルが低下する恐れがあります。運用負荷も増大するでしょう。このような“つぎはぎだらけの”IT環境の課題を解決する可能性を示す概念として、注目を集めているのが『SASE』です」
このSASEを実現するためのサービスとして、UTMやCASBなどのセキュリティ機能、そしてクラウドエクスチェンジやSD-WANといったネットワーク機能を統合した、ゲートウェイ型クラウドサービスがすでにいくつも登場しています。
「とはいえ、SASE製品を何か1つ導入すれば、企業のセキュリティとネットワークの課題がすべて解決するわけではなりません。真に社内外同一の生産性と安全性を満たす環境を実現するためには、SASEにプラスアルファの検討要素が必要になります。
具体的な検討要素として、まず挙げられるのはどの製品やサービスを選定するかということです。SASEサービスを提供するベンダーによって、機能ごとに得手不得手があるため、自社のニーズに合った適切なサービスを選定する必要があります。さらに、既存の自社のネットワークやセキュリティ対策を踏まえたうえで、どんなステップを踏んでSASEに移行していくのかも検討すべきポイントでしょう」(城氏)
一方、セキュリティの観点では、エンドポイントセキュリティはSASEではカバーしづらいと城氏は話します。さらに日本企業は自社でセキュリティ人材を確保しているケースが少ないことから、SASEに対応する人材面の問題も指摘しました。
このようにSASE導入において検討すべきポイントについて解説した後、城氏は日本企業固有の課題まで加味して提供するサービスとしてNTT Comの「SASEソリューション」を紹介しました。