小売業のA社では、従来はITシステムの故障申告や問い合わせを口頭やメールといった「証跡が残らない」管理体制で行っていました。しかし、このことが内部監査で問題視され、経営層から早急な改善対応が求められていました。加えて、口頭・メールでの依頼では、情報システム部門が対処に取りかかる時間がまちまちだったため、従業員サイドから「進捗状況がわからない」という不満の声が上がっていました。
A社の親会社からは、ServiceNowの利用を強く推奨されていましたが、構築や運用にかかる期間、コストもあり、導入には至っていませんでした。
そこでA社では、ITSMプラットフォームで、ITシステムの故障申告や問い合わせの窓口をサービスポータルに集約する検討を開始しました。これにより、“証跡の見える化”が可能になり、さらに導入期間もわずか2週間で完了する見込みです。コスト面についても廉価な月額料金で利用でき、バージョンアップや新機能対応にかかるスキル、稼働の不安も解消できるといいます。
A社では各種申請業務のサービスポータル対応など、今回の施策を起点とした組織内の利用拡大を図っていくといいます。

「A社のケースのように、サービスポータルで社内の申請業務を効率化・自動化したいというご要望は、昨年だけで10数社ありました。ITSMプラットフォームの導入後、もっと広い領域で使いたいというケースには、お客さまのServiceNowのインスタンス(ServiceNow上に生成される、専用のアプリケーション利用領域)への移行・導入についても提案を行っています。
NTT Comでは、ServiceNowをセキュアなVPN接続で利用できるサービスも提供しています(ServiceNow Secured over VPN)。日本国内にデータを保管かつ極めて安全に、全社的に展開を進めたいケースにも、当社であれば対応できます」(植松氏)
情報システム部門における煩雑な運用業務の効率化は、企業として推し進めるべき課題です。もし経営層が納得しなかったり、多くの従業員に反対されてしまった場合は、サービスポータルが役に立つはずです。きっと「情報システム部門は自分たちだけではなくて、我々のことも考えてくれているんだな!」と歓迎されることでしょう。