こうした背景を踏まえたうえで、NTT ComではITSMプラットフォームのリニューアルを検討。2019年9月のServiceNowのバージョンアップに合わせ、10月より、新たなITSMプラットフォームをリリースしました。新しいITSMプラットフォームでは、NTT Comの日本データセンターにリソースを移行したことで、日本国内にデータを保持したままServiceNowの利用が可能になっています。
これ以外にも、ユーザーからの要望を踏まえ、(1)モバイルアプリ、(2)自動電話発信機能、(3)ユーザーが保有するZabbixとの連携、(4)Cloud Discovery、(5)サービスポータルという5つのオプション機能が追加されています。
「(1)モバイルアプリ」は、専用のスマホ用アプリをインストールすることにより、スマホからインシデント管理や変更管理、問題管理、ナレッジ参照などの操作ができます。このため、外出先や移動中、出張先などからでも緊急のインシデント対応が可能になります。
「IT管理者がスマホから、現在実行中の作業のリアルタイム確認や、チケット(実施すべき作業や課題)の起票もできます」(植松氏)
「(2)自動電話発信機能」は、重大なインシデントが発生した際に、指定した連絡先に自動的に電話による通知を行うものです。
「“何かあった時にスマホに音声通知が欲しい”という声に応えた機能です。重大なインシデントの発生時にはスマホが鳴り、緊急事態をいち早く察知できます」(植松氏)
「(3)Zabbix連携」は、すでにユーザーが利用しているオープンソースの統合監視ツール「Zabbix」とのITSMプラットフォームとの連携を可能にするものです。従来の監視設定を保持したまま、ITSM プラットフォームのインシデントチケット起票を自動で実行できます。
「(4)Cloud Discovery」は、AWS、Azureといった各サービスの構成管理情報を自動で取得する機能です。IaaSだけではなく、PaaSやSaaSへの対応も追加されています。
上に紹介した4つの機能は、いずれも情報システム部門の監視・運用を効率化するものです。しかし、「(5)サービスポータル」は少し色合いが異なります。
これは、社内ユーザーがサービスポータルを利用できるようになる機能で、情報システム部門は社内ユーザーからの問い合わせ受付やナレッジ提供、サービスカタログによる申請業務の受付が可能になります。
「このサービスポータルを使うことで、たとえば複数のエクセルフォーマットを使い分けて申請していたような煩雑なシステム利用依頼を、きわめてシンプルにすることができます。ServiceNowのテンプレートで、ワークフローをつなげれば、従業員からの導線をカタログ化できます。結果的に、事業のDX化も進みますし、従業員の働き方改革に貢献します。
情報システム部門の効率化だけではなく、自部門の社内評価を上げ経営層や従業員から“感謝される”仕組みが構築できます」(植松氏)