「ServiceNow 」といえば、ITサービスマネジメント(以下 ITSM)の分野でも、世界的に導入されているプラットフォームのひとつです。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、ServiceNowの日本最大級ユーザーであり、NTT Comのネットワークやクラウド、音声システムといったサービスの運用プラットフォーム、さらにはNTT Com社内のIT基盤にも、ServiceNowを活用しています。
IT部門の監視・運用業務を効率化・自動化するNTT Comのサービス「Global Management One ITSM Platform 」(以下、ITSMプラットフォーム)は、このようなNTTComのITシステム運用におけるノウハウを生かしたServiceNowが組み込まれています。同サービスは2019年5月にリリースされました が、同年10月にリニューアル。半年に1回のペースでバージョンアップされるServiceNowの最新バージョンを踏まえ、新機能をITSMプラットフォームに追加しています。
同社では、新たに生まれ変わったITSMプラットフォームについて、「情報システム部門の業務負荷の軽減効果だけではなく、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)にも貢献し、経営層や従業員に感謝されるサービス」としています。
新しいITSMプラットフォームを導入することが、なぜ経営層や従業員に感謝されることにつながるのでしょうか?その答えとなる新機能と付加価値について、具体的な事例を踏まえながら解説します。
目次
「IT運用の効率化」だけでは、経営層は動かない
ITSMプラットフォームの最大の特長は、ServiceNowにはない監視機能を搭載することで、システム構成情報の「見える化」と、トラブルが発生した際の監視・対処プロセスを自動化できることにあります。NTT Com ビジネスソリューション本部の植松千晴氏は、昨年5月にサービスを開始した際には、規模や業種を問わず多くの企業から問い合わせが殺到したと語ります。
「当初は、小さい規模でServiceNowを使い始めたいという企業に向けて提供を始めました。実際にスタートしてみると、サービス本体に興味を持つお客さまだけではなく、“NTT ComがServiceNowを社内で実装することで蓄積した知見やノウハウ”に興味を持つ方も多く見られました」(植松氏)
植松氏は、各社の情報システム部門担当者からの声を聞く中で、「経営層は、ITSMツールの導入を、単なる業務効率化のみで決断しない」ということに気付いたといいます。
「企業は必ずしも、情報システム部門のオペレーションの効率化のためだけにITSMプラットフォームを導入したいわけではないようです。“情報システム部門が従業員に新たな付加価値を提供するためのソリューションを一緒に考えてほしい”という声が多く聞かれました」
背景には、働き方改革やDXというキーワードが広く浸透したことで、それらに対する明確な解決策が示せないと、導入に際して経営層・従業員の理解を得られない、という現実があるようです。
「我々NTT Comでは、普段の業務の中でもITSMプラットフォームを活用し、現場で試しながら、使いやすさの改善を続けてきました。たとえば、マネージドサービスを提供する運用チームや、顧客対応窓口となるカスタマサービスセンターなどの業務でも使用しています。
ですが、経営者や従業員の理解を得るためには、ITSMプラットフォームのサービス提案ではなく“お客さま課題に即したソリューション提案”が不可欠である、ということが徐々に分かってきました」