デジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革の推進に向け、ITを積極的に活用する企業は多いはずです。しかし、場当たり的なハードウェアの増強やソフトウェアの導入は、構成情報が社内の各所に散在してしまい、管理が困難になるなど、ITシステムに混乱を引き起こします。このような状況を放置していては、いずれ手痛い事故やトラブルにつながってしまうでしょう。
今回は、ITシステムの管理方法として効果的な解決手段である「CMDB(構成管理データベース)」を紹介します。
複雑化したITシステムは、整理されていない机である
複雑化したITシステムは、整理されていない机と同じです。探し物が見つからないときに、机の中の引き出しを開け閉めした経験は誰にでもあるはずです。
もしITシステムを部門やシステムごとにバラバラに管理しているのであれば、 それは管理ができていないと同じです。いざというときに、必要な情報が見つからなかったり、探すのに時間を要してしまうでしょう。
中には「手入力のExcelで台帳を作成して、年に数度の棚卸で更新している」というケースもあるかもしれません。しかしその場合、台帳を探すのに時間がかかったり、手作業のため誤入力が起こるといった問題が生じます。
このような作業対応の遅れや間違った対応で、トラブルが発生する可能性もあります。重大なインシデント発生時の対応が遅れ、全社に被害が拡大する、古い情報を参照したためPCとシステムの連携ができなくなり、業務が止まってしまう……というケースも起こり得ます。
実際の会社のケースで見ていきましょう。A社では、構成情報を管理する全社的なプロセスが確立できていないため、チームによって管理方法が異なっていたり、手作業による登録漏れのため、多くの情報が最新データではなかったといいます。そんな状況で障害が発生すると、情報が偏在していたり、情報が古すぎることにより、原因の特定に時間がかかってしまい、対応に時間がかかることも多かったといいます。