こうして生まれた、三菱商事の新たなグローバルネットワークでは、国内外の全拠点を1つのネットワークに統合。東京にある本店からの一極集中管理により、グローバルガバナンスが効く構成になっています。またNTT Comによるグローバルでの一元受付窓口(サービスデスク)と24時間365日問い合せ故障受付も実現し、課題であったITサービス部の運用負荷の軽減も実現しました。
安藤氏は、今回のプロジェクトに手応えを感じているといいます。
「東京一極のオペレーションで、世界の隅々にまで一定品質のIT基盤サービスを提供することは、私たちITサービス部の新たな挑戦だと思っています。今後運用を続ける中で、私たちが現地の要望、意見をきちんと吸い上げ、相互に是正を図るプロセスも必要になると思われます。これからどんどん改善を続けることで、サービスの完成度を上げていく計画です」
一方で三浦氏は、グローバルネットワークが接続するプラットフォームをクラウド上に移行したことで、現地の各拠点がそれぞれ最適なIT基盤を調達できるようになり、利便性と柔軟性が向上した点を評価します。
「新たなネットワークに切り替えたタイミングでプラットフォームをクラウドに移行したことで、各拠点は事業のオポチュニティ(機会)に応じて、最適なIT基盤が調達可能になりました。メインネットワークに加え、バックアップやインターネット接続、セキュリティ対策などについては現地に合わせて選択できるようになっています。
一極集中管理と現場への馴致がバランスしたネットワーク設計は、NTT Comの提案力と技術力のなせる業だと感じています。しかも、従来のように一度導入したら5年、10年と使い続ける必要もなく、時代の変化に応じて俊敏に構成が変えられます。そのアジリティの高さも評価しています」

さらに安藤氏も三浦氏も、今回のグローバルIT基盤の更改が、DXの推進に繋がっていくと話します。
「当初の懸案だったセキュリティ対策については、アウトソーシングしたことで、新たな脅威に迅速かつ的確な対策が打てるようになりました。運用にかかる負荷も軽減されたことで、DXの企画や開発といった創造的な領域にITサービス部のリソースをシフトできるようになったことも大きな収穫です」(三浦氏)
「今回のグローバルネットワークの更改を起点として、さらに広いレイヤーをカバーする共通プラットフォームの構築を計画しています。わが社グループの中には、自前でDX推進を支えるプラットフォームを構築することが難しい事業会社も少なくはありません。変化が激しい事業環境に迅速に対応するため、安く、早く、安全に導入でき、DXを強力に推進できるプラットフォームを、私たちは整備していくつもりです」(安藤氏)
“今のIT基盤のままでは、これからのビジネスについていけるか不安だ”と考えているビジネスパーソンもいるかもしれません。その際には、今回の三菱商事の取り組みが、参考になることでしょう。