三菱商事株式会社(以下、三菱商事)は、世界約90の国・地域に広がる拠点と約1,500の連結事業会社と協業しながらビジネスを展開している会社です。
同社では、今後も国内外でビジネスを継続していくためには、激しい環境変化にタイムリーに対応できるスピード感と、優れたコストパフォーマンスを備えたIT基盤が必要であったといいます。
そこで同社は、新しいIT基盤の構築に着手します。三菱商事が選んだ新しいIT基盤とは、どのようなものなのでしょうか? 導入までには、どのような苦労があったのでしょうか?同社ITサービス部長の安藤啓吾氏と、ITサービス部 ITインフラチームリーダー 次長の三浦 弘晶氏に話を聞きました。
【三菱商事株式会社について】
世界約90の国・地域に広がる拠点と約1,500の連結事業会社と協働しながらビジネスを展開。天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループ体制で、幅広い産業を事業領域としており、貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も担っている。
従来のシステムのままでは、ビジネスの激しい変化に耐えられない
三菱商事では現在、「事業投資」から「事業経営」へビジネスモデルの転換を図っており、事業会社との協働に向け、従来のグローバルIT基盤を更改することが急務になっていました。
「国内外事業会社を含め三菱商事グループを取り巻くビジネス環境が急速に、また激しく変化している中、それら変化にタイムリーに対応できるスピード感、国内外事業会社を含むグループ全体への展開も見据えた、コストパフォーマンスに優れているグローバルなIT基盤を構築することが求められていました。
一方で私たちITサービス部門においてはセキュリティ対応業務の増加も課題でした。事業継続のためには、常に最新の脅威の検知とタイムリーな対応が求められますが、IT運用の稼働負荷への取り組みを大きな課題としてとらえていました」(安藤氏)
そこで同社では従来の「自前主義」からの脱却を決断。約90の国・地域に広がる拠点のグローバルネットワークの更改を契機に、IT基盤の「持つ」から「使う」方針への転換を図るとともに、スピードとコストを兼ね備え、求められる機能やセキュリティを兼ね備えた新しいIT基盤の構築に着手します。
同社ITサービス部の三浦弘晶氏は、新たなグローバルネットワーク選定にあたって必要な要件として、「スピード」「コスト」「セキュリティ」に加え「本店による一極集中管理」を挙げました。
「従来は、ネットワークをはじめとしたIT基盤の運用管理は、各国、各地域のIT部門の裁量で行っていました。しかしこれでは万一インシデントが起きた際に、的確な指示が出せないおそれがあります。そこでネットワークの更改を機に、IT基盤の一極集中管理を実現することで、インシデント対応を含むグローバルガバナンスの強化を狙いました」