ネットワンシステムズはネットワーク・コンピューティングを生業として、“つなぐ”“むすぶ”技術を提供している会社です。同社は次世代のネットワークインテグレーター(NIer)のあるべき姿を見据え、クラウド活用に最適なシステムアーキテクチャを創造し、“かわる”変革を起こすための新たな取り組みを進めています。
ネットワンにおいて、顧客に提供しているネットワークの運用・保守の窓口となるのがカスタマーサービス本部です。池田和之氏は、当時の運用・保守システムは多数のローカルシステムが乱立しており、まずはこの見直しが必要だったと振り返ります。
「システム連携がうまくいっておらず、障害時の対応に無駄な時間がかかっており、顧客満足度の低下を招いていたのです。この問題の解決するために各システムのデータ連携や整合性をとる必要がありました」
さらに属人化により生じていた、特定のメンバーへの負荷を軽減するための施策や、適切な人員の確保を目的とした協業パートナーとの連携体制も検討する必要がありました。
そこでネットワンではServiceNow カスタマー サービス マネジメント、ServiceNow IT サービス マネジメントに加え、分析ツールのPerformance Analyticsを新たな運用・保守管理システムに組み込むことを決めました。
「導入については検討に6ヵ月、構築に13ヵ月を要し、現在(2019年10月)は最終テストの段階です。通常の開発ではベンダーの力を借りることが多いのですが、当社では全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた基盤更改を控えているため、今回はノウハウの蓄積を考え内製で構築を進めました」(池田氏)

新しい運用・保守管理システムでは、ServiceNow CSMで統合ポータルを構築。問い合わせや障害申告を行い、顧客、ネットワンの運用・保守部隊、協業パートナーが同じ表示で情報を共有できるようになっています。
ServiceNow ITSMでは、チケット登録から担当者のアサイン、保守対応、復旧作業などの主要プロセスを自動化。さらにPerformance Analytics でインシデントや問題の傾向を分析し、サービス改善、需要予測に活用する仕組みになっています。
「自動化を推し進めていくことで人為的なオペレーションミスの低減を図り、サービスレベルの向上を図ります。そして、お客さまの事業変化を的確にとらえたタイムリーな提案で、ビジネス変革をサポートするような基盤にしたいと考えています」(池田市)
社内・社外を問わず、窓口対応業務は往々にして複雑になってしまいがちです。それがサービスを利用するユーザーの不満となったり、担当者の負荷増大を生み出しています。複数システムの情報をServiceNowに統合し、煩雑なプロセスを自動化することは効果的な解決策の一つでしょう。
今回紹介した事例はすべてServiceNowの開発を自前で行い、スキルやノウハウを社内に蓄積するというものでした。ビジネス環境の変化にスピーディに即応するために、開発の内製化も重要なポイントといえるのかもしれません。