ビジネスシーンでは、面倒くさいけれどやらなければならない「定型業務」が発生します。しかし、定形業務が多かったり、複雑だったりすると、担当者の稼働が圧迫され、本来取り組むべき付加価値が高い仕事が疎かになってしまいます。
このような煩雑な定型業務を変える存在として、いま注目されているのが「ServiceNow」です。
2019年10月16日(水)に開催された、ServiceNow主催のイベント「Now at Work Tokyo」では、ServiceNowの導入により業務を効率化した、日本企業の導入事例が数多く紹介されました。
今回は同イベントで行われた、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の講演「社内活用事例(入社手続きの自動化)とお客様向け新マネージドサービス(ServiceNow Secured over VPN)のご紹介」、および楽天株式会社(以下、楽天)の講演「RPAプラットフォームへのITSM活用事例」をピックアップします。
両社はServiceNowの導入でどんな課題を解決したのでしょうか。キーワードは「自動化」です。
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煩雑な入社手続きが、社員のモチベーションを下げていた
NTT Comは、正社員・契約社員、約30,000名が利用するオンボーディング(入社手続き)システムを利用していますが、従来の入社手続きでは、数々の問題が生じていたと、同社システム部の四辻允生氏はいいます。
「入社にあたり必要な手続きのほとんどが紙ベースで行われていたため、多くの手間と時間を要していました。さらに、入社手続きに関するシステムも一本化されていなかったため、連携ミスがたびたび起きていました。
そのため『入社日までにPCの調達が間に合わない』というようなモチベーションを低下させる事態も散見されました」
四辻氏は、そのような入社手続きに関する問題点を把握しつつも、解決に踏み切れない状況にあったと説明します。
「システム部ではほかの社内課題を抱えており、そこまで手を回すことはできなかったというのが実情です。そこで社内のさまざまな領域で活用が進んでいたServiceNowを使えないかと考えました」
この課題に対し、NTT Comが導入したサービスは「ServiceNow HRSD」。いわゆる人事に関するサービスデリバリーを自動化するツールです。豊富なテンプレートが用意されており、効率的かつリーズナブルに開発ができることが選定理由になりました。
「私たちにとってチャレンジだったのは、開発体制をこれまでのウォーターフォールからアジャイルに切り替えたことです。日本では、ServiceNow人事サービスデリバリーの導入事例がなかったため、ServiceNowとアジャイル開発のナレッジ収集に一定の時間は要しましたが、およそ5カ月という短期間で30,000人が利用する大規模システムがリリースできたことは大きな収穫です」(四辻氏)
ServiceNow HRSDの導入によって、NTT Com には3つのメリットがもたらされました。
「1つ目は紙で対応していた入社手続きが、いつでもどこでもスマートフォンやタブレットPCで手軽にできるようになったことです。2つ目は、複数システムを統合したことで間接稼働が削減でき、進捗も見える化できたこと。これにより、入社手続きに要していた時間が劇的に短縮されました。3つ目は開発者目線になりますが、必要最小限のリソースでのアジャイル開発が非常にうまく回ったことが、今後の自信につながりました」(四辻氏)
今後、NTT Comではオンボーディングシステムのグループ会社への利用拡大、さらに入社手続きのみならず、社内申請などを集約した社内ポータルの活用などを計画しているといいます。