こうした「Visibility」「Insight」「Control」をクリアし、ガバナンスを効かせるためには、さまざまなツールの活用が欠かせません。
弓場氏はそうしたツールの一例として、NTT Com Managed Servicesが開発したHybrid ITマネジメントシステムの構成を紹介しました。
たとえば「ServiceNow」は、構成管理や変更管理、課題管理などを持ち、運用の効率化やプロセスの変革などを可能にするサービスです。弓場氏はこのServiceNowに複数のシステムを組み合わせているといいます。
「Controlのレベルまで達成することを目標とした場合、下記スライドの例にあるようなシステム投資・開発が必要になります。MSP(Managed Service Provider)はこの仕組みを内部に持ち、お客様向けサービスのバックエンドで動くプロセスの効率化や、お客様プロセス自体の自動化を行います。
お客様から見たポイントは、MSPはツールやシステムを提供しているのではなく、これらの仕組みと人を組み合わせたシステムマネージメントサービスを提供しているということです。旧来のアウトソースとの違いは、これをお客様毎に作るのか、サービスの一部として提供するのか、という点です。
お客様が自前で投資して開発し、開発体制を維持していくコストがMSPを選ぶ場合のコスト比較要素の1つとなると考えます。お客様がMSPを選ぶときに、このような継続的にサービスが進化していく仕組みを持っているのかが大きな評価項目の1つになりますね」(弓場氏)

こうした仕組みを自社で構築するのは、多額の投資を行う必要があり、容易ではありません。しかし、NTTコミュニケーションズの「Global Management One」であれば、運用管理の高度化のための仕組みが、自社のIT環境に組み込めます。
弓場氏は導入事例として、ある日系企業の取り組みを紹介しました。CMDBやワークフロー、ID管理などにServiceNowを利用しつつ、外部のビジネスシステムやパートナー、あるいは内製のビジネスシステムと連携させ、社内のステークホルダーに対して自動通知を行う仕組みも整えています。

同社ではServiceNowを運用プラットフォームとし、NTT ComがGlobal Management Oneの運用基盤とインテグレーションして導入支援を行ったことで、申請業務の時間短縮、セキュリティインシデント対応の時間短縮ができたといいます。
「たとえば“このリソースをデプロイしてください”と言われたとき、申請から承認に至るまで、従来は平均30分かかっていましたが、それが平均5分でできるようになりました。
CMDBでシステムが管理されているので、セキュリティインシデントへの対応も改善されました。インシデントが発生すると、それがどのアセットなのかがすぐにわかり、素早くトラブルシュートが行えます。これにより、平均70分かかっていたインシデント対応が、平均5分に短縮されています。
Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureといったクラウドサービスでは、“自動化”を強く打ち出しています。企業のIT部門の中におけるプロセスを自動化するための取り組みも同時に進めていくことがカギになります」(弓場氏)