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欧米企業がアウトソーサーからMSPに切り替えて進める「グローバルITガバナンス」
2019.08.30

DXを加速させるITシステムの運用改革第10回

欧米企業がアウトソーサーからMSPに切り替えて進める「グローバルITガバナンス」

著者 Bizコンパス編集部

 ITの利用領域の拡大に伴い、システムが増加したり、オンプレミスとクラウドの併用によってITインフラが複雑化するなど、ビジネスシーンにおいて、IT環境の運用管理に関する課題は増え続けています。

 このような流れの中で、運用業務をアウトソースしている企業も少なくありません。しかし、単なるアウトソースでは、自社にノウハウが蓄積されず、ベンダーに全てお任せのロックイン状態になりかねない、というリスクがあります。

 このリスクに対し、ITインフラのアウトソース化が進んでいる欧米の企業は、どのように対処しているのでしょうか。NTT Com Managed Servicesの弓場淳次郎氏は、アウトソース化する上でのポイントが「ガバナンス強化」にあると指摘します。

 今回は、2019年7月11日に東京都内で行われた「SAP NOW Tokyo 2019」における、弓場氏の講演「海外経験者が語る~顧客事例から見るクラウドシフトとグローバルICTガバナンス強化について~」から、企業がガバナンスを効かせながら、ITインフラをアウトソースする方法を紹介します。

欧州企業が目指すガバナンスのレベルとは

 昨今のITインフラの現状として、多くの企業に当てはまるのが、ビジネスの用途に合わせてクラウドを選択して利用する「マルチクラウド化」です。そしてその先にあるのが「ハイブリッドクラウド」です。

 NTT Com Managed Servicesの弓場氏は、このハイブリッドクラウドについて、インテリジェントかつフレキシブルなクラウド間が接続されていること。さらに分析エンジンや自動化、オーケストレーションのツールなどを使って運用が高度化されている環境だと定義しました。

「とはいえオンプレミスでの運用が最適な場合もあります。また、複数のクラウドを利用する場合もあるでしょう。企業のIT部門には、それぞれのシステムをしっかりと把握し、最終的にしっかりとプロセスとツールに落とし込めるHybrid IT環境を構築することが求められています」(弓場氏)

 弓場氏は、Hybrid IT環境におけるガバナンスレベルについて、「Visibility」と「Insight」「Control」の3つに分けられると説明しました。

「まず『Visibility』については、たとえば、サーバーやネットワーク監視ツールとして『Nagios』を使っているとしましょう。この場合、1つのシステムが落ちるとアラートが100個くらい上がります。何が起きているのかを把握するには、熟練のITエンジニアに頼るしかありません。つまり運用監視が効率化されていない上に、特定の人に依存している状況です。この状態では、Visibilityが機能しているとはいえません」(弓場氏)

 次のレベルである「Insight」は、CMDB(Configuration Management Database:構成管理データベース)によってビジネスアプリとインフラがひも付けて管理されていて、コスト分析やSLAパフォーマンス管理が可能な状態のことを指します。

「そして『Insight』の先にあるのが『Control』です。このレベルではワークロードをビジネス要求に合わせてアジャイルに開発、QA(Quality Assurance=品質保証)、デプロイができるなど、ビジネスプロセスの自動化が行われます。さらに、サービス利用に合わせて、ユーザー部門へコスト配賦もできます。欧米企業はまさにここを目指しています」(弓場氏)

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