最初のプロジェクトは、花王グループの経営情報を一元的に管理する「SAP Central Finance」をターゲットとし、2017年6月から1年3カ月で新たなクラウド基盤に移行しました。その後もサーバーの更新に合わせて、国内のデータウェアハウス基盤である「SAP BW」を2018年9月に約3カ月かけてアップグレードし、現在は予算計画システムの「SAP BPC」の移行を進めていく方針です。
Enterprise Cloud for SAP ソリューションの特長は、クラウド基盤サービスばかりでなく、テナント環境設定からシステム移行までを支援するサービス、導入後の監視運用代行サービスまで、フルマネージドで提供されることにあります。花王の情報システム部門 ICT部 情報技術Gの都倉政弘氏は「以前のクラウドサービスはメンテナンスの実施時間がベンダーの判断で決まるため、米国の深夜=日本時間の昼間に当たってしまうこともありました。NTTコミュニケーションズが提供するクラウドなら運用の自由度が高く、メンテナンス実施時間もコントロール可能です。また利用したハードウェアリソース分だけ課金する仕組みは我々の考えに適しています」と話しています。
現在、SAPシステムが稼働するクラウド基盤は日本とアメリカの2カ所に置き、クラウド間はNTTコミュニケーションズの10Gのバックボーンネットワークで接続しています。クラウド基盤とグローバル約60カ所、日本国内約200カ所の各拠点とをつなぐ足回りのネットワークは、NTTコミュニケーションズの提供するMPLS回線を用いています。バックボーンネットワークと足回りのネットワークの二重化によって安定性が高まるとともに、パフォーマンスの向上にも貢献しています。SAPシステムにおいて、日本だけでなく、アジア、欧米とのデータ連携が発生する同社の場合、クラウド基盤間を結ぶバックボーンのスピードも重要で、NTTコミュニケーションズのネットワークによって品質が担保されているメリットは大きいといいます。
基幹システムは本クラウドに集約、日・欧米のクラウド間ネットワークで接続
