SAPシステムのクラウド化は、既存サーバーの更新のタイミングで切り替える方針を取っています。当初は海外ベンダーのクラウドサービスを採用しましたが、構築・運用面で多くの課題がありました。そこで2017年よりクラウドサービスの乗り換えを検討した中から採用したのは、NTTコミュニケーションズ株式会社が米バーチャストリーム(Virtustream)社とストレージメーカーのEMCジャパンとの協業によってリリースした「Enterprise Cloud for SAP ソリューション」です。Virtustreamの独自技術であるμVMテクノロジーを使ったクラウド基盤は、従量課金制によるコスト圧縮に効果があり、多くの企業やプラットフォームベンダーに採用されています。高いセキュリティ基盤を持ち、SAPシステムの稼働でも安心です。
さらにNTTコミュニケーションズなら、クラウド基盤だけでなく、ネットワーク環境も一体で提供されるメリットがありました。選んだ理由について、同社 情報システム部門 ICT部 情報技術G 課長の實川晴武氏は次のように話しています。
「オンプレミスの時代は海外拠点のデータセンター間のネットワークを自前で用意していましたが、クラウドを採用することでネットワーク部分の構築、運用から解放されます。各国の拠点からデータセンターにアクセスする足回りのネットワークをNTTコミュニケーションズに運用をお願いしてきた経緯もあり、クラウド基盤間や足回りの接続も考慮して採用しました」
NTTコミュニケーションズは花王への技術支援を2002年頃から行っており、オンプレミスのデータセンターも運用しています。全システムがクラウド移行を終えるまではオンプレミスでの運用も継続されるため、クラウドとシームレスに連携できるメリットも大きいものでした。NTTコミュニケーションズはAWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドと連携するコネクトサービスも提供しているため、マルチクラウド化を進める花王の方針にもマッチしていたといいます。