ハイブリッドクラウドの構築に際しては、仮想サーバーの利用台数が目安のひとつとなります。また、仮想サーバーの数によっては、クラウドマイグレーションで対応できるケースもあります。ここでは、仮想サーバーの数が100台以上の場合に有効な「VMware Cloud Foundation」を利用した方法、仮想サーバー数が20台以上のユーザー向けと言えるVeeam社のソリューションを使った方法、そしてそれ以下の環境で最適な「Arcserve UDP」と呼ばれるバックアップソフトを使った方法についてサンプルを紹介します。
ケース1:VMware Cloud Foundationによるハイブリッドクラウド化
大規模環境に最適なのが、オンプレミスの仮想サーバーを停止させずクラウドへ移行できる機能「VMware Hybrid Cloud Extension」 による「VMware Cloud Foundation」への移行です。単にクラウドに移行するだけでなく、オンプレミスとクラウドをシームレスに運用できるメリットがあります。たとえば保守期限切れを迎えたサーバーから順次クラウドに移行するなど、柔軟に仮想サーバーの実行環境を選択できます。
クラウドを利用すれば、物理サーバーのリソースが不足した際にも即座にサーバーを追加できるといった拡張性に優れていることも利点です。さらに、ネットワークを仮想化するVMware NSXを利用することでどちらの環境でも同一のセキュリティポリシーを適用できること、そしてクラウドとオンプレミスをVPN (仮想プライベート ネットワーク)で接続することにより、帯域確保でき安定した移行も実現できます。
ケース1:オンプレミスの拡張

ケース2:Veeamによるクラウドマイグレーション
仮想サーバーが数十台規模の環境でのクラウド移行で、推奨できるのがVeeam社のソリューションを使う方法です。複数の仮想サーバーを一度に移行できるうえ、仮想サーバーの複製とデータ同期のプロセスを一元化することが可能であり、移行の手間を大幅に省けます。さらにVMware環境の管理情報をVMwareの管理ポータルであるVMware vCenterと共有し、一元的に管理を行うための仕組みも備えています。
なおこの方法に限らず、移行先であるクラウド側では、物理サーバーをそのまま提供するベアメタルサーバーの利用がおすすめです。ベアメタルサーバーであればリソースを占有して使えるうえ、ほかのユーザーの影響を受けずに済むでしょう。
ケース2:オンプレミス環境のクラウド化

ケース3:Arcserve UDPによるクラウドへのマイグレーション
最も手軽な方法として挙げられるのは、バックアップソフトである「Arcserve Unified Data Protection(Arcserve UDP)」を使った方法です。まずオンプレミス環境の仮想サーバーのイメージを作成し、それをクラウド側のVMware環境に展開するという方法で移行を行います。こちらの方法においても、レプリケーションからデータ同期までのプロセスを一元化することが可能です。仮想サーバーの数が少なく、手作業で移行しても負担は小さいといったケースであれば最適な方法でしょう。コスト負担を抑えられることもメリットです。
ケース3:オンプレミス環境のクラウド化

コスト削減だけでなく、ITを活用して新たな価値を生み出すデジタルトランスフォーメーションを推進する上でもITインフラの見直しは欠かせません。その大きな鍵を握るのがクラウドです。あらためて自社のITインフラを見直し、戦略的なIT投資を実現するためのファーストステップとして、クラウド移行を検討してみてはいかがでしょうか。
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