複雑化するITインフラを効率的に運用するために、情報システム部門はどのような取り組みを進めるべきでしょうか。代表的な例を基に、具体的な対策を見ていきましょう。
まずグローバルに拠点があり、それぞれがリージョンごとに個別にインフラやシステムを利用しているといったケースです。このような状態でさらに複数のクラウドサービスを利用し、さらに拠点によって異なる通信キャリアのネットワークを利用しているといった状況では、運用が極めて困難となることは容易に想像できるでしょう。
このような状況に陥った際の具体的な問題として、長瀬氏は「運用に多数のベンダーが携わる状況になると、何かが起こったときにどの窓口に連絡すべきかの判断が難しくなるうえ、作業するにしても各所に対する手配や確認がどうしても必要になり、多くの稼働が発生します」と課題を述べます。
ケース1:グローバル拠点の個別最適化を解消

さらに、グローバル全体でIT環境を俯瞰できないことも問題です。
「各リージョンが部分最適でシステムやインフラを構築すると、ワンストップで全体を俯瞰することが難しくなります。たとえばセキュリティインシデントが発生した場合のことなどを考えると、IT基盤全体を見渡せる仕掛けはどうしても必要であり、それがなければ何らかの問題が生じたときに迅速な対応ができません」(長瀬氏)
このような状況を改善するのが、運用業務のアウトソースサービスの活用などによる窓口の一元化です。「ここで大事なのは、運用サービス側の対応者が“自らの所掌範囲”にこだわらず、問題解決のために一丸となって対応してくれるかどうかです。サービスの対象外であっても『○○のログはとれますか』『○○のあたりを調べられますか』といったアドバイスが、早期解決に役立つのです。私どもの運用サービス『Global Management One』でお客様対応するサービスマネージャーの意識改革には、とても長い時間がかかりました」(長瀬氏)
さらに、業務の見える化や標準化まで推し進め、人手をかけずに自動化を進めていくことができれば、作業のスピードアップや品質向上も期待できるでしょう。
また、窓口一元化という点では、エンドユーザー向けのヘルプデスクを一元的にアウトソースすることも大きなメリットを生み出します。IT担当者の負担が軽減でき、それぞれのシステムの内容を把握したアウトソース先がヘルプデスクまで対応すれば、ユーザーからの問い合わせに迅速に回答できるでしょう。ただしグローバル全体でこうした取り組みを進める際は、時差や多言語への対応がポイントとなります。アウトソース先を選定する際には、こうしたニーズに対応できるかもチェックしましょう。
<パートナー選定のポイント>
・トラブル時に“所掌範囲”にこだわらずに適切な助言をもらえるか
・業務の見える化や標準化、自動化を一緒に進められるか
・グローバルでヘルプデスク業務を任せられるか