「モード1」と呼ばれる従来型のシステムをクラウドに移行する手法として、昨今注目を集めているのが「リフト&シフト」と呼ばれている方式です。その背景にある考え方や、多くの企業で使われているVMware環境からのクラウド移行について、NTTコミュニケーションズ株式会社のクラウド・エバンジェリストである林雅之氏にお話を伺いました。
あらためて高まるクラウド利用への意欲
クラウドはすでに多くの企業で活用され始めていますが、その一方で、オンプレミスで運用されているシステムもまだまだ多いのが現状です。こうしたシステムをどうするのかについて、IDC Japanは、ユーザー企業にアンケートした結果を「2018年 国内クラウドインフラストラクチャに関するユーザー動向調査結果」として公表しています。
その内容を見ると、一部の環境をクラウドサービスに移行すると回答した企業が30%、ほぼ全部の環境をクラウドサービスに移行すると回答した企業は11.4%で、合計すると40%を超える企業が何らかの形でクラウドへの移行を考えているという結果となっています。
クラウドサービスへの検討は4割超

クラウドへ移行する理由として最も大きかったのは運用負担の軽減(70.5%)で、ハードウェアコストの削減(49.2%)、セキュリティ強化(32.1%)といった理由が続いています。運用負荷やコストを含めた全体最適を見据え、オンプレミスからクラウドへの移行を前向きに捉えている企業が増えていることがわかるでしょう。
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTTコミュニケーションズ)のクラウド・エバンジェリストである林雅之氏は、このようにクラウド活用に向けた意識が各企業で高まる中、「リフト&シフト」が新たなトレンドになっていると指摘します。
「既存のオンプレミスシステムの互換性と継続性を重視して、できるだけ変更を加えることなくクラウドに移行し、その後システムをクラウドに最適化する。このリフト&シフトによるクラウド移行のニーズが高まっています。これを受け、クラウドベンダーでも積極的に対応が進められている状況です」