このようなCDNサービスのほか、アカマイではセキュリティサービスも提供しています。具体的なサービスとしては、膨大な量のトラフィックをWebサーバーに送り込み、正常なWebサイトの利用を妨害するDDoS攻撃からの保護、さらにはWebアプリケーションに対する攻撃を防ぐクラウド型のWAFサービスなどがあります。
セキュリティサービスを提供することになったきっかけとしては、アカマイ自身が、セキュリティを取り組むべき課題だと捉えていたからだと言います。高梨氏は「コンテンツを効率よく配信するためにはセキュリティ対策も重要です。特にDDoS攻撃を受けると、パフォーマンスを維持して配信することができなくなりますので」と、セキュリティ対策の必要性を強調します。
その対策として大きな効果を発揮しているのは、全世界23万台以上のエッジサーバーを擁する超大規模分散型アーキテクチャーです。仮にDDoS攻撃が行われたとしても、その通信のほとんどが世界各地に点在するエッジサーバーで吸収されるため、オリジナルのWebサーバーが高負荷状態に陥ることを避けられます。また同社のCDNプラットフォームを使えば、オリジナルのWebサーバーから離れたところで攻撃を遮断できるため、インターネット接続回線の輻輳も回避することが可能です。
アカマイが提供するセキュリティサービスは、こうした独自のアーキテクチャーを活用した形で実現されています。セキュリティサービスを提供する理由について、高梨氏は「CDNサービスをご利用いただければ、我々のサーバーの背後にオリジナルのWebサーバーを隠すことができます。とはいえ、それだけでは守り切れない部分もあるため、DDoS攻撃を緩和する技術を持った企業とM&Aを行い、セキュリティサービスを提供しています」と話します。
DDoS攻撃は以前から行われていましたが、攻撃の規模は年々増加傾向にあり、昨今では金銭を支払わなければDDoS攻撃を仕掛けるといった脅迫が金融機関に対して行われるなど、より悪質化している状況です。さらにWebアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃もやむ気配がありません。セキュリティサービスの提供を通じ、このような状況に対応していきたいと話すのは道向氏です。
「サイバー攻撃はさまざまな場所で発生しており、多くの企業が被害を受けています。我々にはDDoS攻撃に対抗できるインフラがあるほか、Webアプリケーションに対する攻撃に対応できるクラウド型のWAFも提供しています。これらの提供を通じ、安全かつ快適にインターネットを利用できるように今後も努力していきたいと考えています」
なお2018年4月には、同社のコンテンツ配信プラットフォームが使われたインドのクリケット国内リーグのストリーミング配信サービスにおいて、1,030万人という最大同時視聴者数を記録しました。「インドではクリケットのファンが多く、試合中継は大人気のコンテンツとなっています。このストリーミングにはアカマイのプラットフォームが使われていたのですが、これはアカマイが配信したスポーツイベントの中で最大規模でした。こうしたストリーミング配信は世界中で広まっているため、我々としても2020年に向けて、インパクトの大きいイベントをサポートしていきたいと考えています」(道向氏)
ちなみに、グローバルで見ると大きなスポーツイベントがあるときはインターネットのトラフィックは大幅に増加するとのことですが、テレビ放送による中継が主になる日本では、逆にトラフィックが低下すると言います。しかし今後はテレビ放送のインターネット同時配信が広まる可能性が高く、日本でも多くの人が世界的なイベントをインターネット経由で見ることになるかもしれません。そうなれば、アカマイが提供するCDNサービスの存在感はますます高まることになるでしょう。
デジタライゼーションが進む現在、ビジネスにおいてWebサイトが果たす役割は拡大し続けています。そのWebサイトへの快適なアクセスを実現し、そしてDDoS攻撃をはじめとするサイバー攻撃から保護することを考えた際、アカマイが提供するサービスは極めて大きな価値を持つのではないでしょうか。
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