このような問題を起こさないために、赤神氏が重要だと話すのはコミュニケーションの質です。もちろん、多くの企業において本社と各拠点のIT部門において、メールや電話でやり取りを行ったり、あるいは定期的にレポートを提出してもらったりといったことは行われているでしょう。しかし赤神氏は、それでは不十分だと言います。
「ガバナンスを効かせるためには、ガバナンスに取り組むことが各現地法人の人たちにとってどのようなメリットがあるのかを理解してもらうことが重要です。本社の言うことに従うことでどんなメリットが得られるのか。たとえば仕事が非常にスムーズに進むであったり、新しいキャリアパスが描けたりといった現地法人の担当者にとってのメリットを語るわけです。その上で、IT環境はこうあるべきある、それによって君たちにもこういうメリットがありますと伝えて進めていくことが近道になります」
逆に、駄目なパターンとして赤神氏が説明したのは「本社でこういうふうに決まったから、それに従いなさい」とトップダウンでコントロールするやり方です。特に昨今では、日系企業においても海外の売上比率が高いといったことが珍しくありません。このような場合、日本の本社が決めたことだからと言われても、素直に従えないでしょう。
さらに現地法人の担当者とメールや電話でやり取りしたり、あるいは定期的にレポートを提出してもらうといった活動だけでは不十分だとします。
「出張でも出向でも、それが難しければテレビ会議でもいいのですが、しっかり相手の顔を見ながらコミュニケーションを図らないと、お互い何を考えているのかを理解できないですよね。同じバックグラウンドを共有していればメールや電話でも意思疎通ができるかもしれませんが、現地法人はそうとは限りません。だから顔を見て話すことが大事なんです」
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