グローバルIT基盤で利用するネットワークの選定にあたり、はじめに同社が強く意識したのはBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)でした。2011年に発生した東日本大震災では、日本の多くの製造業が事業継続リスクにさらされました。このときの経験から事業継続マネジメント活動の重要性を認識した同社は、「C-BCM」(Cataler Business Continuity Management)と呼ばれる取り組みを開始します。当然、グローバルIT基盤で利用するネットワークサービスの選定においても、事業継続に資するものかどうかが重要なポイントとなりました。
「i-Cataler2020ではクラウドとして『Microsoft Azure』を積極的に利用しています。しかし、このようなパブリッククラウドであっても、BCMの観点からサービス停止のリスクを無視することはできません。そのため、グローバルIT基盤におけるネットワークサービスの選定においては、ネットワークに加えて、自前のクラウドサービスも展開していることを要件としました。Microsoft Azureと通信事業者のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境をとることで、IT-BCMを実現することが狙いでした」(吉田氏)
さらに吉田氏は、セキュリティも重要なポイントだったと付け加えます。
「国内・国外を問わず、当社の取引先企業が求めるセキュリティレベルは年々上昇しています。現時点では我々が利用するパブリッククラウド環境に特化した指摘はありませんが、指摘があってから対応するのではなく、あらかじめ自分たちで先回りして考え、対策強化に取り組んでいます。このような背景から、基幹システムなどの多くの重要システムをクラウド上で運用する条件として、クラウドサービスに閉域網接続できるネットワークサービスは必須であると考えていました」