一方のコンテナは、1つのOS(ホストOS)上で、ソフトウェアを実行するための独立した空間を提供する仕組みです。イメージはサーバー仮想化技術と似ていますが、コンテナでは仮想化したハードウェアを使うのではなく、開発したソフトウェアとそれに必要な部品(ランタイム)をほかのソフトウェアから隔離しつつ直接実行します。このため、仮想によるオーバーヘッドがないほか、サーバー仮想化よりも物理リソースの利用効率がよく、1つの物理サーバー上でより多くのコンテナを実行できるというメリットがあります。
コンテナ/Dockerとは

環境依存を意識することがないこともコンテナの大きな利点です。このため開発環境のコンテナを使ってソフトウェアを開発した後、それを本番環境のコンテナに移すといった際に環境に合わせて設定などを変更するといった必要がなく、環境依存を気にせずに開発することができます。
PaaSとコンテナに共通する特長として、ソフトウェアを実行するための環境を手早く整えられるため、スクラップ&ビルドが容易であることも挙げられます。これもアジャイル開発の利点を生かす上で重要なポイントであり、また開発スピードの向上にもつながるでしょう。
国内では、NTTコミュニケーションズが「Enterprise Cloud」において、オープンソースで開発されているPaaSプラットフォームである「Cloud Foundry」や、DockerコンテナやDockerホストを容易に管理する「Rancher」を利用したサービスを用意しています。グーグルの「Google Cloud Platform」やマイクロソフトの「Microsoft Azure」、アマゾンの「Amazon Web Services」など、各社のクラウドサービスではすでにPaaSやコンテナ環境を提供しており、手軽に試すことができます。またまずはこれらのサービスを試用し、PaaSやコンテナのメリットを確かめてみるとよいでしょう。