このアジャイル開発やマイクロサービスアーキテクチャの考え方を採り入れる上で、意識しておきたいのは最適なインフラの構築です。ソフトウェアのレイヤーがどれだけ柔軟になっても、その下のサーバーやネットワークといったインフラが硬直的では、せっかくのアジャイル開発やマイクロサービスアーキテクチャのメリットを生かせないためです。
柔軟なインフラを実現するための具体的なサービスとしては、PaaSやコンテナが挙げられます。PaaSはソフトウェアの実行環境を提供するクラウドサービスであり、開発者はサーバーやOSの存在を意識する必要はありません。提供される環境の中で開発しなければならないという制約はありますが、その一方でOSやミドルウェアのインストールや設定といった手間が省けることは魅力でしょう。
PaaS(Platform-as-a-Service)とは

PaaSによっては、ブルーグリーンデプロイメントを容易に実現する機能が提供されていることもあります。これはブルー系とグリーン系と呼ばれる、2つの本番環境を交互に切り替えられるようにする仕組みです。
たとえばブルー系を使ってサービスを提供していて、ソフトウェアのバージョンアップを行いたいとします。通常であれば、一度サービスを止めてバージョンアップを行うことになります。しかしブルーグリーンデプロイメントの仕組みが使えれば、待機系となっているグリーン系であらかじめ新しいバージョンを実行し、ブルー系から切り替えることで瞬時にソフトウェアを切り替えられます。これにより、システム停止時間を最小限に抑えられるほか、ブルー系とグリーン系がまったく同じ環境であれば、環境の差異による不具合も気にする必要がありません。