日本マイクロソフトの高添修氏は、AzureとAzure Stackの関係性について「両者のコントロールパネルの画面は同じです。Azure StackはAzureありきででき上がったものであり、まったく新しいものを別途作っているわけではありません」と話し、次のように続けました。
「Azureは『Azure Resource Manager』という管理基盤が支えていて、その上でポータルやスクリプト、開発環境やAPIが成り立っています。実はAzure Stackは、この管理基盤そのものをオンプレミスに持ってくるソリューションです。そのため、利用できるAPIやコマンド、スクリプトが一緒ですし、世界中の誰かがAzure上で実行したノウハウを社内に持ち込むこともできるのです。そこまで徹底していることがAzure Stackのユニークな点です」

AzureとAzure Stackの関係性を端的に表しているのは「Write Once,Deploy Anywhere」という言葉です。つまり1度アプリケーションのコードを書けば、それをパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらでも動かせるというわけです。
「たとえば、アプリケーション開発環境であるVisual Studioを使ってコードを作成したとします。実データを伴わない段階のテストは、パブリッククラウドで実施し、実データを投入する本番稼働ではプライベートな環境を利用したい。このようなケースにおいて、AzureとAzure Stackであれば、パブリッククラウドとプライベートクラウドでコードを書き分けることなく、単にアプリケーションの展開先を切り替えるだけでどちらでも実行可能です。そのようなことが、普通にできるようになっています」

現在、ハイブリッドクラウドでITインフラを再構成する動きは、グローバル全体で進んでいます。ただしオンプレミスはそのまま残り、さらにパブリッククラウドで複数のサービスを使い分ける必要があるといった状況では、ITインフラのコスト最適化は進まず、さらに運用の複雑化も招きかねません。高添氏はこうした課題に先回りしたのがAzure Stackだと説明します。
「バラバラなツール、バラバラなスキル、そしてアプリケーションの設計も環境によって異なる。こういったものをクラウドネイティブな世界観で統一する、それがAzureとAzure Stackです。この新たなソリューションを視野に入れて、これからのハイブリッドクラウドモデルを考えていただきたいと思います」
