今後、DCANでは新たな接続先の拡大に加え、SDN、NFVといった技術のサービス実装も計画しています。鍛原氏は将来的な展望を「現在、DCANが接続するパブリッククラウドはAzure、AWSですが、将来的に拡大していく予定です。選択肢が広いほどメリットは大きくなりますので、Arcstar Universal One と親和性の高い『Enterprise Cloud』との接続も視野に入れています。一方でマネージドサービスは私たちの本業であり、そこに強みがあります。ネットワーク仮想化技術のユーザー操作を開放するサービスも登場していますが、お客さまの状況を理解し何が最適かを考え、改善する部分は、私たちにお任せいただきたいと考えています。いかにお客さまの運用負荷を軽減し、本業に集中していただけるようなサービスを提供していきたいですね」と話します。
今後、DCANのさらなる拡販に向けて、神保氏は重点的にSaaSを提供する事業者にアプローチを図っていきたいと言います。
「SaaSと多数のお客さまをつなぐプライベートネットワークをDCANで構築したいのです。DCANなら、お客さまが個別に設置しているプライベート接続のテナント同士を一定の条件でつなげて、システムやサービスを共有してコストを抑えられる効果があります。個社別のネットワークをつなぐ際のセキュリティポリシーについても、DCANのもつファイアウォール機能などを使えばきちんとルール化して接続させることもできます。そこからお客さまの拠点ネットワークの統合、WAN同士を接続するといった働きかけで、相互にシェア拡大を図っていければと思っています」
さらに将来的には同社の主導で異業種のサービス利用者同士を結び付けて、新たな協業モデルを生み出していくアプローチを計画しています。
顧客とサービスを高い信頼性で接続できるDCANの拡大により、これからもインテックでは、TISインテックグループ相互でのシナジー強化に向けた取り組みを進めていく方針です。どういった顧客にアプローチするか、どのようなサービスに接続を拡大するかを考えることが総合ITベンダーの腕の見せどころだと神保氏は見据えます。「今後、私たちはどことどこ、誰と誰を”つなぐ”のかに知恵をしぼっていく必要があります。協業による新たなチャネル開拓に積極的に取り組むと同時に、今後もネットワークのインテックとして、更にネットワーク基盤を進化させていきたいと考えています」
ともすれば競合といえるインテックとNTTコミュニケーションズですが、もはやそのような考えは古いのかもしれません。両社のコラボレーションによって誕生したDCANは、B2B2Xモデルのお手本と言えるでしょう。自らの利益追求のみではなく、相互でWIN-WINの関係を築き、次世代に受け継がれるようなスタンダードサービスを育てていく。たとえ近しい業種でも協業できることを教えてくれた好例と言えるのではないでしょうか。
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