ビジネススピードを加速するIT基盤(第9回)

CDN活用で事業拡大へ!NDソフトウェアの挑戦

2018.02.07 Wed連載バックナンバー

 インターネットによるサービス提供や商品の売買が一般化した今日、Webアクセスの快適化や安定化を図るためにCDN(Contents Delivery Network)の利用が広がっています。介護・福祉分野を中心に事務管理や現場業務支援のためのオリジナルソフトを開発・販売しているNDソフトウェアでは、顧客向けのダウンロードサイトにCDNを導入して大きな効率化を実現しました。CDNの導入によって、同社やサービスのユーザーには、どのようなメリットがもたらされたのでしょうか。

エヌ・デーソフトウェア株式会社について

 1979(昭和54)年設立。山形県南陽市に本社を置き、介護・福祉・医療関連オリジナルパッケージソフトウェアの開発・販売、および運用サポート・保守サービスなどを幅広く展開しています。中でも介護保険などに対応した「ほのぼの」シリーズは、全国の福祉・医療関連事業者から大きな支持を得ており、38,000を超える事業所に導入(2017年3月時点)。トータルヘルスケア・ソリューションの提供を通じて、地域のみなさまが安心して生活できる社会づくりに取り組んでいます。

 

気になる見出しをクリック

サーバー運用のコスト削減とダウンロードの迅速化が課題

 エヌ・デーソフトウェア株式会社(以下、NDソフトウェア)は、電子精密機器の製造を目的として設立されましたが、介護・福祉分野でIT化が進んでいなかったことにいち早く着目し、請求業務をサポートするソフトウェアの開発に挑戦しました。現在では、全国多数の事業者から支持を獲得し、「攻めのイノベーション」と「守りのイノベーション」というキーワードを掲げて事業を推進しています。

「攻めのイノベーション」では、スピードを重視して事業に変革を起こすことを目指し、「守りのイノベーション」では、コスト削減やシステムの安定化などに継続して取り組んでいます。介護・福祉などの分野は、事業所の運営にかける費用に余裕がないケースが多く、そういった環境の中で顧客の業務改善をどのようにして手伝っていくのか、ということが事業推進のテーマであるといいます。

 近年ソフトウェア市場では、従来のDVDなどのメディアでアプリケーションソフトが提供される形態から、オンラインによりユーザーがダウンロードで入手する方法が主流になっています。このような流れの中、NDソフトウェアにおいても、ソフトウェアのバージョンアッププログラムをオンラインで配信するサービス「NDSダウンローダープログラム」が提供されています。

 特に介護・福祉関連ソフトでは法改正に対応するバージョンアップが多いため、メディアを送付する必要のないダウンロードは、提供側にとっては効率化の有効な手段であり、ユーザーにとっても最新プログラムをタイムリーに入手できるというメリットがあります。NDSダウンローダープログラムでは、システムに不具合があった場合の対応プログラムも配信しており、このサービスを利用するユーザーは日々増加していると言います。

 ユーザー増加に対応するため、同社では配信サーバーの数を増やしていく形態で運用を行っていましたが、運用コストやアクセス集中などの面でいくつかの課題を抱えていました。NDソフトウェア ICT事業部の課長代理を務める齋藤秀信氏は、課題について振り返ります。

「ダウンロードで更新プログラムを入手されるお客さまが増えるに従ってサーバーを増やしていったのですが、その構築や運用にかかるコストがかなり増大しており、改善を図りたいと考えていました。法改正などに伴って更新プログラムがリリースされた直後は、どうしてもアクセスが集中します。サーバー数を増やすことで負荷分散を図ってはいたものの、お客さまのダウンロードがスムーズに進まないという課題もありました」

 同社 ICT事業部の横山拓哉氏は、「我々なりに工夫を凝らして効率化を図ってはいましたが、自前で仕組みを構築していたこともあり、多数のサーバーの構築と運用にかなり手間と費用をかけている状態でした」と、実際にサーバー運用に携わる立場からコメントを加えます。

駅伝チームの活躍がCDN利用の契機になり、ビジネス拡大に襷をつなげる

 このような課題を解決に有効なサービスとして、同社は以前よりNTTコミュニケーションズからCDNの紹介を受けていましたが、そのサービスを実際に利用する契機が生まれました。

「当社の『NDソフト アスリートクラブ』の駅伝チームが創部2年目にして予選を突破し、2017年元旦に行われる全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)に出場できることになったのです。いい機会ですので、当社のオフィシャルサイトやクラブのサイトを宣伝して、広く見てもらおうということになったのですが、かなり昔に構築したシステム上で運用していたこともあり、大量アクセスに耐えられないのではないか、という不安がありました。加えてサポートや問い合わせのページもオフィシャルサイト上にあり、アクセス集中によって、そちらにアクセスしたいお客さまに迷惑がかかることは、絶対に避けなければなりませんでした。そこで、以前から紹介を受けていたCDNが有効であろうと思い、NTTコミュニケーションズに相談して、導入に踏み切ったのです」と、齋藤氏は説明します。

 CDNは広く分散配置されたキャッシュサーバーからWebコンテンツを配信するサービスです。1つのオリジンサーバー(発信元サーバー)から各キャッシュサーバーにコンテンツが配信されるため、オリジンサーバーの負荷が減ると同時に、各ユーザーは地理的に近いキャッシュサーバーから配信を受けることにより、スムーズなアクセスが可能になります。昨今では、容量の大きな動画ファイルの配信などにも広く利用されています。

 この導入決定は、ニューイヤー駅伝の開催まで2カ月を切っているというタイミングで、何よりスピードが求められましたが、NTTコミュニケーションズの協力もあり、期日までに構築が完了。アクセス集中による遅延もなく、無事に当日を終えることができたと言います。この経験において、サイトの表示速度が格段に速くなることや、コスト削減に期待が持てそうだという手応えをつかんだ同社は、NDSダウンローダープログラムの運用にCDNを導入することを検討。2017年8月から本格運用がスタートしました。

「オフィシャルサイトへの導入の際はスピードが最も重要な要件でしたが、NTTコミュニケーションズのエンジニアから直接説明を受けることができ、CDNの仕組みについて十分に理解しながら導入することができました。そのことが、『このサービスはソフト配信にも使える』という気づきにつながったのだと思います。あらためてサービスの内容をきちんと理解し、納得感をもって進めることが非常に重要であると感じられました。本格導入においても、NTTコミュニケーションズの豊富なCDN導入実績や、それまで当社に提供されていたサービスの信頼性も高く評価していましたので、不安はありませんでした」(齋藤氏)

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

年間25%のコストダウンに加え、ダウンロード時間を大幅に短縮

 システムの導入自体は円滑に行われましたが、事前のコストダウンの試算は、かなり綿密に行われたとのこと。ICT事業部の須貝鉄矢氏は、そのポイントを説明します。

「実際にCDNを導入した場合にどの程度のコスト削減が見込めるのか、社内説明のために非常に細かい部分までシミュレーションを行ってコストを積み上げていきました。そうして、我々が試算したコストをNTTコミュニケーションズに提示し、いくつかあるサービス体系の中から最も当社のニーズに合うものを提案してもらえたことは効果的だったと思います。切り替えは一気に行うのではなく、旧システムと1/2ずつ段階的に導入することになりましたが、最終形になった場合、年間で約25%のコストダウンが図れる計算になり、『これで行こう』ということになりました」

 NDSダウンローダープログラムは、現在はすべてCDN上で配信されており、まさに25%のコスト削減が見込める状態になっています。加えて、アクセスの負荷分散による効果も大きく表れているようです。

「一日におけるダウンロード数が大きく増加したことを確認できました。バージョンアッププログラムのリリース時には数千件のダウンロードが集中するのですが、CDN導入以前の4月と、導入後の11月で比較したところ、処理件数が1.75倍も増えていました。また、1時間という単位で比較すると、以前の約20倍という数字も出ており、想定以上のダウンロード時間短縮が実現できています。以前は配信サーバーから自動で配信しても、時間が掛かり過ぎでしまうなどの要因で配信しきれず、お客さまが自らダウンロードしていました。CDN導入後は、そのようなことがなく、きちんと自動でダウンロードが完了しています。従来はアクセスが集中する時期には、サポートセンターに『アクセスできない』『接続が切れてダウンロードできない』といったお客さまの声が多数寄せられていたのですが、導入後はまったく無くなったと聞いています」と、横山氏は管理担当者の視点で評価を語ります。

 管理負荷面での具体的な数字の比較は難しいようですが、感覚的にはかなり手間や時間が軽減されていると横山氏は付け加えます。現在はオリジンサーバー1台だけをメンテナンスすればよいので、気持ちにもゆとりが生まれていると言います。本格稼動以降トラブルはなく、安心感をもって運用されているとのことです。

CDN導入イメージ図

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

顧客への幅広い情報発信にもCDNを活用したい

 今回のNDSダウンローダープログラムへのCDN導入では、NDソフトウェアにとっては大幅なコストダウンと管理負荷の軽減という具体的効果が得られ、ソフトユーザーにはダウンロード時間の短縮というメリットがもたらされました。さらには、万一Webサイトが攻撃された際には、大半の攻撃はキャッシュサーバーに向けて行われるため、オリジンサーバーに被害が及びにくいというセキュリティ面での利点もあります。

「これまで幸いにも当社のサイトが外部から攻撃されることはありませんでしたが、インターネットを介した脅威は日々巧妙化しており、それに対する耐性が高くなったことも大きな導入効果でしょう。当社はインターネット上に商品を置いているわけですから、セキュリティの担保は非常に重要です。今回のCDN導入で、より安心して運用できる形態になりました」(齋藤氏)

 同社ではこれらの効果に大きな手応えを感じており、他のサービスへの利用も広げていきたいとのこと。齋藤氏は、今後のCDN活用についての展望を語ります。

「CDNは、広く多くの人に情報を安心して発信できる仕組みです。我々としても、お客さまに幅広い情報をお届けしたいと思っており、『ほのぼの』シリーズのコンテンツ配信へのCDN導入を進めています」。

 加えて社内向けITシステムについても、「当社ではワークライフバランスに着目しており、在宅勤務やテレワークの導入を視野に入れています。同時に、社外で活動する営業スタッフがセキュアにモバイル端末を使用できる環境の構築も必要になると考えています。クラウド基盤の利用をさらに推進し、なるべく自社で資産を持たないような形態に移行していきたいと考えています。そういった面で、今後もNTTコミュニケーションズの協力を大いに期待したいですね」と、展望を述べます。

 人材不足が叫ばれて久しい介護・福祉分野。その状況を改善する一助として、ITが果たす役割は、これからますます大きくなっていくことでしょう。NDソフトウェアの今後の動向が期待されます。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

このテーマについてもっと詳しく知りたい

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter