2021.03.10
Well-Beingを最大化するスマートシティとは第2回
巻き返しなるか?日本発のスマートシティ
著者 石丸 希
日本発の新たなスマートシティ「スーパーシティ」とは?
政府においては、2019年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」等に基づき、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が連携してスマートシティの取組を加速する「スマートシティ官民連携プラットフォーム」が同年8月に設立され、省庁の垣根を越えて官民が連携する枠組みが構築されました。
更に、2020年5月にはスーパーシティ法案(国家戦略特区法改正案)が可決され、我が国のスマートシティも、実証実験から社会実装へと事業の重心がシフトしています。
スーパーシティとは、AI(人工知能)やビッグデータなどの最先端の技術を活用し、地域課題の解決を図り、規制改革に取り組みながら複数の産業で、先行的に未来の暮らしが可能な「丸ごと未来都市」を地域と事業者と国が一体となって目指す取り組みです。スマートシティが個別分野の先端技術を活用する取組が一般的に多いことに対し、スーパーシティは各分野を横断するデータ連携基盤(都市OS)を軸として、生活を根本から変えることを目指しています。
スーパーシティの要素として、①生活全般にまたがる(10領域に区分した生活領域の5領域以上をカバー)、②未来社会の加速実現(2030年頃の実現)、③住民参画(新しい住民参加モデル)の3つを満足する必要があります。特に、③住民参画については、カナダ・トロントのスマートシティ計画におけるサイドウォークラボ(グーグルの兄弟会社)のつまづきを反面教師としていることも考えられ、興味深い要素です。
スーパーシティについては、現在、内閣府より「スーパーシティ型国家戦略特区として指定されることを希望する地方公共団体」の公募が開始されており、2021年3月にスーパーシティ区域が5カ所程度指定される予定です。
スーパーシティのような、生活全般を包含する分野横断型のスマートシティの取組は世界的にもまだ事例が少なく、今回指定されるスーパーシティ区域において、事業性も担保された持続可能なモデルが確立できれば、日本発の新たなスマートシティとして、国内だけでなくグローバルでの一つのスタンダードとなる可能性もあります。現在、官民連携で推進しているこのスーパーシティの取組が、我が国におけるスマートシティの巻き返しの起爆剤となり、グローバルビジネスとして展開できるスマートシティの新たなスタンダードとなることに期待したいと思います。
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