スマートシティとは、ICTを活用したまちづくりを行うことで、その街に居住し活動する人々の健康や幸福など「Well-Being」(人間が身体的・精神的に健康で幸福な状態にあること)を最大化するためのものです。
前回(第1回)は、海外のスマートシティについて、各地域の特色を発揮しつつ、実証実験から社会実装へと事業フェーズを移し、取組が加速している状況を紹介しました。
これら海外に比べ、日本のスマートシティは実証実験や構想段階のものも多く、国際的に後れを取っている感は否めませんが、今回(第2回)は、このような状況において巻き返しを図る、我が国の取組について紹介します。
産業集積や人材育成にも取り組む、福島・会津若松のスマートシティ
まず初めに、福島県会津若松市の取組「スマートシティ会津若松」を紹介します。取組期間が長く実績も豊富であり、国内のスマートシティとして最も有名な事例といえるでしょう
会津若松市におけるスマートシティの取組は、2011年に発生した東日本大震災を受けたアクセンチュアの復興プロジェクトが契機となり、総務省の実証事業の後押しで進展しました。個別分野に閉じたものではなく、交通、決済、教育、ヘルスケアなど多様な分野のサービスをプラットフォーム上で展開するとともに、産業集積や人材育成も合わせて推進している特徴を有しています。
産業集積や人材育成の拠点として、ICTオフィスビル「スマートシティAiCT」が2019年4月に開所し、31社が入居し満室となるなど(2020年12月時点見込み)、着実な成果を挙げています。
スマートシティによる会津若松市のイノベーション全体像

出典:国土交通省資料/アクセンチュア作成