2021.02.05
Well-Beingを最大化するスマートシティとは第1回
なぜ世界中がスマートシティに取り組んでいるのか?欧州、米国、アジアの状況と特徴
著者 石丸 希
政府主導の開発が進むアジア
アジアのスマートシティの特徴として、政府主導によるグリーンフィールド型※3の開発が多いことが挙げられます。
(※3 更地から新たな都市を構築するスマートシティ。既存の都市を創り変えるスマートシティは「ブラウンフィールド型」という)
中国の雄安新区は、北京から150kmほどの郊外にある1,770㎢のエリアであり、「千年大計」と呼ばれる一大国家プロジェクトとして2017年から開発が始まりました。2035年までに自動運転やAI、ブロックチェーンといった現在の最新技術を駆使した街づくりを目指しています。
先行して開発されている地区では、ロボットによる荷物の自動配送や顔認証による荷物の受け取り、更には、顔認証でチェックインや部屋の施錠ができるホテルも開店しています。また、テンセントやアリババなどの中国の大手IT企業の進出が予定されていることも注目を集めています。
韓国中部の世宗市は、2012年にソウル市から行政機能を移転するために設立された新都市です。中央省庁の90%近くが既に同市に移転しており、韓国スマートシティのモデル都市として、政府主導の開発が進められています。日常生活の中で実証実験を行う「リビングラボ」の側面が強く、自動運転や自動ごみ処理システム、BRT(バス高速輸送システム)の無人稼働など様々な先進的な取り組みを行っています。
これまで紹介したように、海外では、各地域の特色を発揮しつつ、実証実験から社会実装へと事業フェーズを移し、スマートシティの動きが加速しています。
日本のスマートシティは実証実験や構想段階のものも多く、国際的に後れを取っている感は否めませんが、次回(第2回)は、巻き返しを図る我が国の取組について紹介したいと思います。
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