2021.02.05
Well-Beingを最大化するスマートシティとは第1回
なぜ世界中がスマートシティに取り組んでいるのか?欧州、米国、アジアの状況と特徴
著者 石丸 希
各国がしのぎを削るも、成功事例はいまだナシ
「スマートシティ」という用語は、10年ほど前から使われるようになりました。社会に最初に浸透し始めた2010年前後には、エネルギー分野を中心に特定分野を対象とした取り組みが主流でしたが、近年では交通・観光・防災・健康・医療・エネルギー・環境など、複数分野を包括的に連動・最適化する分野横断型の取り組みにシフトしてきています。
スマートシティは、道路・建築物・輸送・都市インフラなどのハードウエアから、センシング・通信・サービス・運営・デザインなどのソフトウエアまで、まちづくり全般にわたる包括的な総合産業であり、その市場規模は2023年に1895億米ドル(約20兆円)に拡大すると推計されています。※2
(※2 IDC Japanは2019年7月16日、世界のスマートシティイニシアティブに対する支出額予測を発表した。最新版の「Worldwide Smart Cities Spending Guide」では、2023年に支出額が1895億米ドルに拡大すると予測している)
しかし、サステナブル(持続可能な発展)な意味での成功事例は世界でもまだなく、分野横断型のスマートシティも存在しているとは言い難い状況です。そのため、世界中の国や都市で、巨大テクノロジー企業などが中心となってスマートシティ事業にしのぎを削っています。