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早大IT戦略研究所 根来龍之氏 「日本の大企業だけがDXに後れを取っているわけではない」
2021.06.04

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第67回

早大IT戦略研究所 根来龍之氏 「日本の大企業だけがDXに後れを取っているわけではない」

著者 Bizコンパス編集部

なぜ、KOMATSUは終身雇用を守る伝統的企業なのにDXに成功したのか

―― 日本の大企業がDXで成功するための示唆をいただけないでしょうか

 日本の大企業でDXに成功した代表例は、KOMATSUです。KOMATSUは大企業で、終身雇用を守る伝統的な企業でありながら、DXで世界的な成功を収めた事例として高く評価できます。KOMATSUは他社より圧倒的に早い2001年に「KOMTRAX(IoTによる遠隔稼働管理システム)」を始めたことが幸いし、他社が真似したくても、追いつけない独走状態をつくりました。

 成功のポイントは2つあります。1つは、自社の競争力を上げるのでなく、顧客の価値を徹底的に高めたことです。顧客の建機を遠隔で稼働管理したり、工務店の効率化を図ったり、建設会社の計画リードタイムを短くしたり、顧客の競争力を上げる方向でDXを推進しました。

 顧客の建設会社は、工事現場によってはKOMATSU以外の建機や作業車、ダンプカーを使うので、自社だけでIoT化しても効率化にならないのです。それがわかっていたKOMATSUは、自社の建機をワンオブゼムと位置付け、他社の建機に後付けで通信モジュールを搭載できるようにし、すべてのデータをひとつのプラットフォームで一元管理できる環境づくりを目指したのです。

 この取り組みは、競合メーカーを助けている面もありますから、戦略矛盾が生じ、共食いが起きるリスクがあります。当然、社内から「自社の建機が売れなくなる」という反対の声も出たはずです。それでも、踏み切ったことがKOMATSUの成功要因です。デジタル化の本質はデータ管理であり、データは自社だけで管理しても価値を生まないとわかっていたのです。

 もう1つのポイントは、オープンイノベーションです。DXの取り組みは自社だけでは完結できません。データビジネスもデータ解析もやったことがなかったKOMATSUは、経験や技術を持つ会社やベンチャーと協力しなければ、「KOMTRAX」を成功させることはできなかったでしょう。

 顧客視点に立ち、オープンイノベーションで他社と共創する、その両方をやったからKOMATSUは、世界をリードするDX企業になったのです。

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