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DXの潮流、CDOの挑戦
2021.06.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第66回

企業の価値を高める「SX」とは何か?有識者が解説

著者 Bizコンパス編集部

“DXよりもSXの方が重要ではないか”

末次:SXを進めるうえで、企業の「環境」に対する向き合い方も、これまでとは大きく変わっていくことが予想されます。

 従来であれば、企業は経済的な発展を選ぶか、それとも環境負荷を減らすことを優先するか、天秤にかけながらビジネス取り組んできた部分があると思います。ただし、現在はそれを両立しようという時期に来ています。特に、2015年にパリ協定(※)が発効されたこと、そして同じ年に国連で「SDGs(Sustainable Development Goals)」が採択されたことで、いよいよ両立に向けた取り組みが本腰になってきたと感じています。

※パリ協定…2020年にスタートした、地球温暖化対策の国際ルール。21世紀後半に、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を、世界全体で実質ゼロにすることが目標として定められている。

 経済と環境の両立を実現するためには、何が大事なポイントになるのでしょうか?

林:非常に難しいテーマで、答えるのは難しいのですが、それを実現する手段を1つ挙げるとすれば、「ダイナミック・ケイパビリティ」だと思います。

 ダイナミック・ケイパビリティとは、企業が市場環境の変化に合わせ、自社のリソースを組み替え、適応するように変革する能力のことです。たとえばアナログな手法でサービスやシステムをつくってしまうと、何かあったときに修正不可能になりかねません。そこでデジタル技術を使い、「デジタルツインコンピューティング」や「サイバーフィジカルシステム」など、サイバー空間でシミュレーションを行い、現実世界にフィードバックするシステムを活用すれば、柔軟な修正が可能になります。

 このようにデジタル技術を使うことで、コストを抑えつつ価値を向上し、利益も生み出しやすいビジネスモデルが構築できます。デジタル技術を用いることで、経済も環境も両立しやすくなってきたのではないかと考えています。

末次:最後に、SXに対する今後の期待について、お話をいただけますか。

山本:環境問題は、人類みんなの共通テーマです。ほかのテーマだと競合になったり、業界が違いすぎて話にならなかったりしますが、環境に関するものは言語を統一できると思います。SXによって、さまざまな業種が集まるきっかけになるでしょう。

 例えば、弊社がこれまで取り組んだ三菱地所さまとのSXに関する事例を通じて、街全体で見たときに、効率的で持続可能な廃棄物管理の仕組みについて検討するきっかけになりえます。弊社の量子コンピューティング技術を活用して、オフィスビルにおける廃棄物収集業務の最適化を図る検証を行った際には、50%以上のCO2排出量削減効果が得られることを確認しています。

 テクノロジーは、そうした取り組みをサポートするためにあります。使い方はまだ定まっているわけではありませんが、その“教科書”を自ら作っていく気概で取り組んでいけば良いと思います。弊社でも、SXに興味を持った方と連携できればいいなと考えています。

林:SXというキーワードは、現状ではまだあまり広まっていないと思います。“DXよりもSXが重要ではないか”とみなさんに声を上げてもらい、サステナブルな観点でもトランスフォーメーションしていかなければならない、という認識を広めたいです。これが横展開していけば、ムーブメントは起きると思います。

末次:私はこれからの時代は、社会に関わりたい、誰かに貢献したいといった思いや、目に見えないものを大事にするということが、コミュニケーションや価値観の軸になるのかなと思います。SXによって、共感する価値観でサプライチェーンやステークホルダーとつながることで、これまでになかったような新しい関係が生まれると考えています。

 自分たちの会社だけでは成し得ないことも、みなさんが自分たちのできることを持ち寄ればエコシステムが多層化し、SXに対する取り組みも強靱化することでしょう。SXによって、ビジネスシーンに新たな価値観が生まれることを期待しています。

 イベントでは末次氏、山本氏、林氏それぞれの講演も行われました。各講演の内容については、以下のグラフィックレコードにて掲載いたします。

第1部 【企業経営の最適化】
DXより重要なSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは何か?
NTTコミュニケーションズ株式会社 エバンジェリスト 林 雅之 氏

第2部 【人・モノ・作業の最適化】
量子コンピュータが実現する経営資源の最適配置と、データ解析がもたらす都市活動の最適化
株式会社グルーヴノーツ City as a Service 準備室長 山本 圭 氏

第3部 【資源循環の最適化】
資源の最適運用と価値創出の最大化~サーキュラーエコノミーの最新動向
アミタ株式会社 代表取締役 末次 貴英 氏

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