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2021.06.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第66回

企業の価値を高める「SX」とは何か?有識者が解説

著者 Bizコンパス編集部

SX成功の鍵は「ワクワク」「社外のエコシステム」「トップコミットメント」「ステークホルダー」

末次:SXを事業にどのように落とし込むのか、という点についても考える必要があると思います。中には、これまでの成功体験にとらわれて、なかなか変化を起こすことができない、あるいは取り組んだものの、継続できないといった企業も出てくることが予想されます。

 企業の考え方をSXへと変えていくためには、どうすれば良いと思いますか?

山本:そもそも新規プロジェクトは、「これを導入すれば必ずこうなる」という成功法がなくスタートするのが一般的です。なので、経営陣から“不確実なものに投資はできない”とか“必ず結果を出せ”と言われると、逆に動けなくなるでしょう。

 扱う技術や取り組みの性質をきちんと理解することや、自社独自のやり方を発明していくプロセスの一つとして、新技術の活用を捉えたらいいのではと思います。そうでないと、本来のポテンシャルを引き出せず、小さな課題解決に終始し、つまずいてしまうことも少なくありません。

末次:もちろんSXに「これをやれば確実に成功する」という特効薬は無いとは思いますが、山本さんはどのようにすれば成果に近づけると思いますか?

山本:まずはプロジェクトに関わるメンバー全員が、本当にワクワクして“面白い”“やってみたい”といった気持ちを持つことにあるでしょう。また、将来の中長期的な取り組みとして、プロジェクトを通じた人材育成の側面にも着目すれば、うまくいくと考えています。逆に、“今すぐにコスト削減を図らなければならない”といった経営状況に余裕がないときに、新技術を使って他社もやったことがないような新たな試みで成果を出すのは、なかなか難しいのではと思います。

末次:ありがとうございます。私も解決策を1つ挙げるとすれば、「社外との関わり」になるのかなと考えます。

 自社だけで抱えると、テーマが重たかったり、どこまでやるべきかがわからなかったりしがちです。パートナーと一緒に取り組むことで、社内にない社外の知見やノウハウ、資産を活用できたり、業務負荷を分散させたりしながらプロジェクトが進められます。そういった社内外のエコシステムが、取り組みの柔軟性や強靱性につながると考えています。

林:末次さんが指摘されたように、社外との関わりは重要だと思います。

 我々の場合で言えば、「環境×IT」、あるいは「農業×IT」といった形で異業種の方々と交流しながら取り組むと、今までとは違った視点で物事を捉えられ、お互いに発見があります。さまざまな人とつながりを持ったり、それまで関わりがなかった領域に飛び込むことで、業界の枠を超えたエコシステムが構築できます。

末次:それ以外に、林さんが重要だと思うポイントはありますか?

林:特に重要に感じるのは「企業のトップが推進する」ということです。弊社の場合、経営層が“SXに取り組むべき、サーキュラーエコノミーに取り組むべき”という考え方があり、それがビジョンの策定やそのためのチームの組成につながっていると考えています。

 それに加えて、SXのステークホルダー(利害関係者)全員が、メリットを感じることも大切です。

 たとえばステークホルダーとしては、データを提供するデータホルダーやプロバイダー、データをアグリゲーションする事業者とプラットフォーマー、それを支える事業者やベンチャー企業、データを加工するデータサイエンティストやデベロッパーなどが含まれると思います。ソリューションをファイナルコンシューマーに届け、利益を生み出していくのはもちろんのことですが、ステークホルダーをうまくまとめて、彼ら自身も中長期的に利益が得られる仕組みにしなければいけません。

 こうした動きを、国が支えていく仕組みもまた重要です。スマートシティ、スーパーシティ構想といった形で、国全体に広げていくモデルを政策的に推進していき、企業の取り組みとエコシステム、それから政府の後押しが有機的に結び付いていくと、SXの取り組みはもっと広がっていくでしょう。

末次:ステークホルダー全員がメリットを享受することは、本当に大事なことと思います。そのためには、ステークホルダー同士がどれだけ価値観を共有してつながることができるか、ということが必要だと考えます。

 “どういったメリットが得られるのか”といったコミュニケーションばかりしていると、つながるのは難しいでしょう。むしろ「NTT Comがやるのであれば、アミタも協力します」といったように、言葉がなくても連携するような、価値観でつながる関係を構築できるかどうかが、SXの導入に成功するためのポイントになるのではないかと思います。

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