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Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2021.04.14

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第64回

横河電機が推進する“インターナル”と“エクスターナル”両輪でのDXとは

著者 Bizコンパス編集部

横河電機株式会社 執行役員 デジタル戦略本部長 兼
デジタルエンタープライズ事業本部DXプラットフォームセンター長 舩生 幸宏 氏

 横河電機のDX戦略は、社内の生産性を向上させる「インターナルDX」と、顧客に付加価値の高いデジタルサービスを提供する「エクスターナルDX」の2軸で展開しています。その理由を、デジタル戦略本部長 兼 デジタルエンタープライズ事業本部DXプラットフォームセンター長である舩生幸宏氏は以下のように説明します。

 「DXは世界的にもベストプラクティスといえる手法が確立されておらず、ほとんどの企業が試行錯誤している状態だと考えています。当然ながら、我々が推進するDXも正しいと言い切ることは出来ず、試行錯誤しながら進めている状況です。

 一方で、お客様に提供するデジタルサービスは、確立されたものでなければいけません。そこで、インターナルDXで実証してベストプラクティスを導き出し、それをエクスターナルDXとして外部に提供し、お客様のDXに貢献することを目指す戦略を取っています。我々は、これを“ショールームアプローチ”と呼んでいます」

【横河電機について】

横河電機は、石油、ガス、化学、鉄鋼、紙パルプなどのエネルギーや素材産業、食品、薬品などの多様な業界にプラントの頭脳ともいえる制御システム、センサ、分析計や、生産活動全体の最適化を支える各種のソフトウエアを提供し、社会の発展に貢献してきた。昨今、デジタル技術が進化してビジネス環境が変化する中、横河電機はOT(Operational Technology)とIT(Information Technology)を融合させたソリューションとコンサルティングを提供し、顧客のDXに貢献することを目指している。

勘と経験と度胸の組織からデータドリブンな組織への転換

 横河電機のインターナルDXは、デジタル技術の活用により、社内の業務プロセス改革とITインフラの強化による生産性向上を目標に掲げています。その具体的な取り組みは、顧客接点の改革を目指す「CX:Customer Experience(顧客体験)」、社内の生産性を高める「EX:Employee Experience(従業員体験)」、パートナーとの取引をオンラン化して生産性を上げる「PX:Partner Experience(パートナー体験)」の3つに大別され、それぞれのカテゴリーで特化したDX施策を展開しています。

 横河電機のインターナルDXの中心を担うのはデータ統合です。同社では、データ統合の具体的なDX施策として、データドリブン経営の実現(データ活用とバックオフィスデータの統合)、グローバルに統合された対顧客プラットフォームの実現(顧客データの統合)、クラウドやAI・IIoTを活用したデジタルファクトリーの実現(オペレーションデータの統合)、横河セキュリティオペレーションセンターの実現(セキュリティログデータの統合)などに取り組んでいます。中でも、舩生氏が重要施策として言及したのが、データドリブン経営の実現です。

 「過去、弊社は経験と勘と度胸に頼った意思決定を行ってきました。当時の典型的な会議は、ExcelやPower Point等の会議資料に記載された情報が本当に正しいのか、その信憑性に議論が集中し、時間を浪費するばかりでアクションに結びつく結論をなかなか出来ませんでした。

 このような状況を改善するためには、会議資料をファクトに基づくデータで作成しなければなりません。そのために我々は、グローバルで統合されたデータレイクを整備し、誰もが必要なデータにアクセスして分析を行える『セルフBI環境』を構築しました」

 しかし、長年経験と勘と度胸に頼ってきた組織を、短期間でデータドリブンな組織へ生まれ変わらせることは容易ではありません。横河電機は、どのようなアプローチで社内変革を進めたのでしょうか。「まず重要会議でExcelやPower Pointで数字を説明することを止めてもらいました。」と、舩生氏は具体的なアプローチ方法を紹介します。

 「社員は、毎日のようにExcelやPowerPointで資料を作成していますが、それは手段に過ぎません。本来目的とすべきは、お客様への価値提供や売上を上げることにあるはずです。ところが、手段である資料作成に時間を費やしているため生産性が上がりません。

 この課題を解決するために、我々は、全社規模でデータを集積したデータレイクを作成し、ビジュアライズされたレポートとして出力できるTableauを導入してセルフBI環境を実現しました。これにより社員は、自分でデータを収集してExcelで編集する必要がなくなり、資料作成時間を大幅に短縮できました。

 また、会議では直接レポーティング機能を使ってファクトベースで議論できるようになったことで、数字の正確性の議論が無くなり、改善アクションの議論に集中出来るようになりました」

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