NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2021.03.17

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第61回

「DX・脱炭素」でSDGsに貢献するビジネスがある!エバンジェリストが解説

著者 Bizコンパス編集部

 2020年、菅義偉首相は就任後の所信表明演説にて「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」と宣言しました。背景には、大気中CO2の急増による気候変動の被害が世界中で深刻化していることへの危機感があります。

 資源エネルギー庁が発表した「日本のエネルギー2020」によると、日本のエネルギー自給率はわずか11.8%に過ぎず、OECD35カ国中34位と、ほぼ最下位となっています。しかも日本は長年、海外から輸入される石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に依存してきました。東日本大震災以降、さらにその依存度は高まり、2018年度、日本で利用されるエネルギーの85.5%を化石燃料が占めています。もし化石燃料が枯渇したり輸入が滞ったりすれば、安定したエネルギー供給が難しくなってしまいます。

 化石燃料消費によるCO2の増加は地球温暖化を引き起こし、高温、干ばつ、豪雨、大雪、洪水、高潮などの被害を拡大させています。欧州では、製品の生産や流通におけるCO2排出量に応じて課税する新たな税制度が検討されており、グローバルで事業を展開する日本企業のビジネスに大きな影響を及ぼす可能性もあります。そのため、CO2を排出せず国内で自給できる再生可能エネルギーを活用する必要があります。

 日本でも再生可能エネルギーを活用するためには、どうすれば良いのでしょうか?ヒントは、ICTを活用したエネルギーマネジメントのDXにあります。

 今回は、前回記事「新ビジネスはSDGsから生まれる!エバンジェリストが解説」で実施したアンケート「SDGsのビジネス活用で知りたいことは?」で最多回答を集めた「スマートシティ」を題材に、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)のエバンジェリスト・境野哲氏が「再生可能エネルギーを活用するスマートシティの在り方」を解説します。

脱炭素・再生可能エネルギーが競争力になる時代が到来

 2011年に発生した東日本大震災の後、原子力発電所の稼働停止により、各地で電力不足が発生してエネルギー問題への関心が高まり、停電を回避するためにさまざまな節電対策が行われ、太陽光発電の導入も進みました。

 境野氏は、当時は照明の「LED化」が節電に大きく貢献したと指摘します。

NTTコミュニケーションズ株式会社
エバンジェリスト
境野哲氏

イノベーションセンタープロデュース部門スマートファクトリー推進室/スマートシティ推進室を兼務。RRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)、building SMART Japan、経産省 新たなガバナンスモデル検討会等に参画。RRIでは「IoTによる製造ビジネス変革WG」内に「グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG」を立ち上げ、社会課題を解決するための国際データ管理の要件を検討。「未来の社会に役立つ産業データを適切に管理・共有できる社会基盤(インフラ)をつくり、日本の産業力を向上させる」ことを目的に、ドイツIDSAやフラウンホファー研究所などと協力して製造業界のデータ流通基盤の議論・提言に取り組む。

 「日本全国のビルや商業施設、住宅で消費電力が比較的高い白熱電球や蛍光管から、消費電力が低いLEDへの切り替えが進んだことで照明の電力消費量が劇的に減り、真夏でも電力消費量が供給量を超えるリスクは小さくなりました。

 LEDのおかげで目の前の危機を乗り切ったことで国民の関心が薄れ、そこから10年、日本では十分なエネルギー政策の議論が行われなくなっていました。しかし今度は、地球温暖化が待ったなしの状況になって、ようやく政府が重い腰を上げたと感じています」

 現在、欧州を中心とした世界では地球温暖化対策のために化石燃料を使わない流れになっており、さまざまな新しい規制やルールが生まれようとしています。

 「欧州では、製品を生産・流通・販売する際のCO2排出量によって、一定のお金を徴収する『国境炭素税』が現実味を帯びてきました。この国境炭素税は、グローバルで事業を展開する企業に大きな影響を及ぼすでしょう。従来の高機能、高性能という“ものづくり”の品質評価軸に、新たにカーボンニュートラル、脱炭素、再生可能エネルギー、資源循環といった視点が加わるようになるでしょう。

 これからは、CO2を排出しない再生可能エネルギーを安定的に安く調達できる国や地域に、生産拠点や事業拠点を移す日本企業が増えてくるかもしれません」(境野氏)

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