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元ネスレ社長の高岡氏が語る 「“新しい現実”の発見がイノベーションを生む源泉になる」
2021.03.12

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第60回

元ネスレ社長の高岡氏が語る 「“新しい現実”の発見がイノベーションを生む源泉になる」

著者 Bizコンパス編集部

「イノベーションアワード」がイノベーターをつくるトレーニングになる

――問題発見能力を活性化する教育法や組織づくりの方法論はあるのでしょうか

 そもそも日本は学校教育で常に正解を求められており、それ事態が最大の問題ではないかと思っています。現実世界には、正解など存在しません。また、イノベーションを創出する能力は「天賦の才」だから、一般人は身に付けられないと考えられている節がありますが、それも間違えていると思います。

 私が考える日本企業による最大のイノベーションはソニーの「WALKMAN」だと思っています。それまで屋内でしか聴けなかった音楽を屋外へ持ち出し、雑踏の中を歩きながら聴けるようにした「WALKMAN」は、すばらしいイノベーションだったと思います。

 盛田昭夫さんは、本か新聞を読むかしかなかった1960年代の飛行機の中で音楽を聴けるようにするアイディアを考えつきました。当時の人々は、飛行機で音楽を聴こうなんて夢にも思っておらず、思いついても1万人中1万人が諦めていましたが、盛田さんは諦めませんでした。ここがイノベーターになれるかどうかの分水嶺です。諦めずに考える能力は、トレーニングで身に付けられるというのが、私のポリシーです。

 そういう意味でも、私は自分が果たしてきた複数のイノベーションの中で、最も気に入っているのが「イノベーションアワード」なのです。

――イノベーションコンサルタントしての活動について教えてください

 私は、あくまで経営者のコンサルタントですから、それ以外の方とは話しません。なぜならイノベーションはトップダウンでしか起きないからです。実際イノベーションに成功した企業を調べてみれば、大半がオーナー会社だとわかるはずです。高度成長期は人口が100万人単位で増え続け、安くて良いものを生産すれば、誰が社長をやっても上手くいきました。しかし、今の時代、任期4年や6年の経営者にイノベーションを生み出せるはずがありません。

 実は経営者にとって、ダメになった会社をターンアラウンドすることは決して難しいことではありません。経営者にとって1番難しいのは、ターンアラウンド後も右肩上がりの業績を10年間続けることです。私は外資系で10年間、売り上げも利益も落とさず、それをやりきりネスレを退職しました。

――日本から世界規模のイノベーションは生まれると思いますか

 今までと同じことをしていたら、絶対無理です。ですが、コロナ禍はイノベーションを生み出す絶好のチャンスだと思います。私が特に期待しているのが金融界のシフトチェンジです。戦後に生まれたメインバンク制のおかげで、日本企業は株主配当を気にすることなく、稼いだ利益をすべて再投資して世界規模の企業を生み出しました。

 これからの金融機関は、大企業の延命よりも、優秀な起業家がゼロから会社を立ち上げるときや、事業承継に悩んでいる中小企業を優秀なイノベーターが新たなビジネスモデルで再生するときに、その使命を果たすべきだと考えています。コロナを機に金融界が変われば、日本発のイノベーションも生まれると思っています。

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