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DXの潮流、CDOの挑戦
2021.01.13

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第57回

経済産業省が「GビズID」で目指す“行政サービスの100%デジタル化”

著者 Bizコンパス編集部

 現在、日本政府では行政をデジタル化し、さまざまなデジタルテクノロジーを用いて政策手法の改革や行政サービスの質の向上を目指す、デジタル・ガバメントの実現に向けた取り組みを積極的に推進しています。

 その取り組みの1つが、あらゆる行政サービスを最初から最後までデジタルで完結する、「行政サービスの100%デジタル化」への取り組みです。この目標を達成するために、経済産業省において2020年1月から本格運用が開始されたのが、「GビズID」(法人共通認証基盤)です。

 1つのIDで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムである「GビズID」。いったいどのようなものなのでしょうか。プロジェクトに携わっている経済産業省の担当官にその仕組みや導入背景、今後の展望について聞きました。

1つのIDで複数の行政サービスを受けられる時代が来た

 GビズIDは法人および個人事業主を対象とした、行政手続きにおける共通の認証システムです。すでに経済産業省の補助金申請システムである「Jグランツ」や、企業の社会保険手続きなどで使用が開始されています。

 このGビズIDで付与されたIDは、さまざまな行政サービスで共通利用することが可能であり、サービスごとにIDを取得する手間は不要です。経済産業省では、GビズIDと接続する他省庁や自治体が提供するサービスを増やすことが、事業者の利便性拡大の観点から重要であるとしています。

経済産業省
CIO補佐官
理学博士
公認情報システム監査人(CISA)
満塩尚史氏

 このGビズIDについて、経済産業省のCIO補佐官である満塩尚史氏は「Gビズスタック」を構成する部品の1つだと説明します。

 「Gビズスタックとは、事業者向けの行政サービスを効率的に提供するための機能を階層ごとに整理したアーキテクチャです。GビズIDが位置するのはデジタルID層で、その上には手続きサービス層があり、ここに『Jグランツ』や中小企業向け補助金・総合支援サイトである『ミラサポplus』が位置します。また、その上にはデータ交換層やデータ分析層、そしてオープンデータ・オープンソース層があるという階層構造です」

 このGビズスタックの前身である法人デジタルプラットフォームの検討において、満塩氏は行政手続きを処理するシステムや、そのデータを蓄積するデータベースに関しては、統合した1つのシステムとして構築することが難しいと判断していたといいます。

 「行政手続きシステムにはさまざまな種類があり、全てを1つのシステムに統合することは困難です。また、それらのシステムが蓄積するデータも異なるため、単純に1つのシステムに統合するべきではないと判断しました。

 とはいえ、それぞれのシステムを個別に構築してしまうと、蓄積されたデータの利活用は極めて難しくなってしまいます。そこで共通的に必要な機能と個別業務で必要な機能を切り分け、開発を進めることにしました。その1つが認証システムであるGビズIDです」

 データ活用については、それぞれのシステムに蓄積されたデータを連携するための基盤として「Gビズコネクト」の開発が進められており、今年度中に公開される予定です。システムに蓄積されたデータをオープンデータとして公開するためのサービスとしては、「Gビズインフォ」がすでに公開されています。

 「GビズIDは、1つのIDで複数のサービスを利用できるだけではありません。ワンスオンリーを実現することも、GビズIDを提供する目的です。今後公開されるGビズコネクトとGビズIDを組み合わせれば、ワンスオンリーを実現できると考えています」(満塩氏)

 2019年12月に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」では、デジタル3原則として「デジタルファースト」「ワンスオンリー」「コネクテッド・ワンストップ」を挙げており、ワンスオンリーについては「一度提出した情報は、二度提出することを不要とする」と説明されています。GビズIDは、このワンスオンリーを実現するための要素の1つだというわけです。

 「たとえばGビズIDを用いて何らかの行政サービスを利用し、そこでデータセットなどを提出したとします。この際、提出したデータセットとGビズIDがひも付けて管理されていて、なおかつGビズコネクトによってシステム間のデータ連携が可能になれば、別のシステムで同じデータセットが必要になったときにあらためて提出する必要がなくなります。

 この仕組みを構築すれば、ワンスオンリーが実現します。事業者にとって各種手続きで、同じデータセットを何度も提出するのは負担だったと思いますので、メリットを感じてもらえると考えています」(満塩氏)

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