2020年12月1日(火)、日本のCDO(最高デジタル・データ責任者)が多数出演するイベント「CDO Summit Tokyo 2020 Winter」(主催:一般社団法人CDO Club Japan)が開催されました。
このイベントでは、菅政権の肝いり政策の1つであるデジタル庁の取り組みを主導する、平井卓也デジタル改革担当大臣が登場。さらに、CDO Club Japanとデジタル人材育成を目的とした連携協定を結んだ、東京大学の理事・副学長であり、社会連携本部長の藤井輝夫氏も登場しました。
今回は2人のキーマンの言葉から、日本が向かうべきデジタル社会の未来をひも解いていきます。
目次
平井大臣“デジタル化によって、プロセスは透明になる”
9月に発足した菅政権では、デジタル庁の設置に向けた動きが注目されています。
デジタル改革担当
情報通信技術(IT)政策担当
内閣府特命担当(マイナンバー制度)
平井卓也大臣
デジタル庁は、各省庁のデジタル化を推進するために新設される省庁です。同政権の発足当初は、同庁は2022年に誕生するという報道もありましたが、昨今のコロナ禍の状況を踏まえ、設立準備が前倒しで進められています。平井大臣は、デジタル庁の設立には「国を挙げてDXを推し進める決意」が込められていると語ります。
「『DX』という言葉でイメージするものは、人によっては異なるでしょうが、ポイントは“いままでのやり方を根本的に変える”ことにあります。これまで日本はIT戦略の下でデジタル化に取り組んできましたが、その多くはDXと呼べるものではありませんでした。たとえば民間企業でいえば、生産性が上がらない、役所でいえば国民の利便性が低いという問題が顕在化しています。
さまざまな問題に直面している2020年を歴史の転換点ととらえ、いままでのやり方を根本的に変える後押しをすることが、菅政権がデジタル庁の創設に踏み切ったいちばんの理由です」(平井氏)
デジタル庁のミッションは、これまで各省庁が取り組んできたIT戦略を、最先端の技術を用いて政府全体として組み立て直すことです。平井大臣は、制度変更などの変化に対してうまく適応できる、維持管理コストの低い、新しい形を創造できるシステムを構築していくことが重要になると指摘します。
「国だけではなく、国民のタッチポイント(接点)である地方自治体のシステムについても、UI、UXを重視し、使う側である国民目線から見直す必要あります。現在、20年ぶりにIT基本法を抜本的に改正する準備も進めており、国民の幸せ、QoS(Quality of Service:サービス品質)を高めて、徹底的に人にやさしく、国民の選択肢が増えるデジタル社会を目指しています。
デジタル庁は、デジタル化による透明性のあるプロセスを重要視しながら、社会全体を新たに再稼働する高い志を持っています。今後も産官学民の力を結集し、みなさまと一緒になって日本の未来のためにDXに取り組んでいけるよう、全力を尽くすことを誓います」