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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.11.25

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第54回

新ビジネスはSDGsから生まれる!エバンジェリストが解説

著者 Bizコンパス編集部

 SDGsは、2015年9月の国連総会で採択された、国際社会が目指すべき共通の目標である「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)を意味する言葉です。

 このSDGsを2030年までに達成するためには、国内外のプレーヤーとオープンに連携すること、IoTやAIなどの最新テクノロジーや国際標準を積極的に取り入れ、ヒト・モノ・カネ・エネルギーの動きを持続可能な状態に最適化する仕組みが重要だということを、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)のエバンジェリスト・境野哲氏は、前回記事「SDGsを達成するためのICT活用“全球自律神経”とは?」にて語りました。

 しかし、SDGsにはゴールが17、ターゲット(達成基準)が169も用意されており、非常に広範囲な要素で構成されています。日本企業がSDGsに取り組むのであれば、どこから切り込んでいくべきなのでしょうか。

 前回記事で実施した簡易アンケート「SDGsに貢献するICT活用で、知りたいことは?」でも、最多回答は「SDGsに貢献できる有望ビジネス」についてでした。そこで今回は、読者からの声にお応えする形で、境野氏が、SDGsに貢献できる有望ビジネスの始め方を解説します。

新ビジネスを見つけたいなら、企業の目線ではなく「市民の目線」を持つべし

 境野氏は、SDGsに貢献する有望ビジネスを発掘するために、経済産業省や総務省が公開する、2つのレポートを注視すべきと指摘します。

NTTコミュニケーションズ株式会社
エバンジェリスト
境野哲氏

イノベーションセンタープロデュース部門スマートファクトリー推進室/スマートシティ推進室を兼務。RRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)、building SMART Japan、経産省 新たなガバナンスモデル検討会等に参画。RRIでは「IoTによる製造ビジネス変革WG」内に「グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG」を立ち上げ、社会課題を解決するための国際データ管理の要件を検討。「未来の社会に役立つ産業データを適切に管理・共有できる社会基盤(インフラ)をつくり、日本の産業力を向上させる」ことを目的に、ドイツIDSAなどと協力して製造業界のデータ流通基盤の議論・提言に取り組む。

 1つ目が、経済産業省による「SDGsとイノベーション経営」を議題としたレポートです。このレポートでは、SDGsの17分野には、それぞれ数十兆円から数百兆円の巨大な市場があると分析しています。

 「最も大きい数字が見込まれるのは、目標7の『エネルギー分野』です。これは目標13の『気候変動対策』にも関わっており、企業や個人が使うエネルギーを再生可能エネルギーに転換する仕組みづくりに大きなビジネスチャンスがあります。

 この次に数字の大きいのが、目標9の『産業と技術革新の基盤をつくろう』です。これは、工場や製造業に限らず、あらゆる産業のデータを共有して、異業種とつながりながら『Society 5.0』の実現に向けたプラットフォームや社会インフラを整備することで生まれる市場です。道路や港湾などの老朽化した設備の更新や防災対策など、ハードのつくり直しもあるため、製造業や建設業に大きなインパクトを与える可能性があります」(境野氏)

 境野氏はこれ以外にも、目標11の「住み続けられるまちづくりを」でも、スマートシティ関連のマーケットが拡大すると指摘。特に、環境負荷を減らすまちづくりを進めていく必要があると指摘します。

 「具体的にはコンパクトシティ化により人が住む場所の範囲を集約し、その地域に公共交通機関を走らせる社会インフラ整備が出てくると思われます。そのほかの比較的数字の小さな分野でも数十兆円のマーケットがあります」(境野氏)

 2つ目のレポートが、総務省がまとめた「デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会 報告書」です。このレポートでは、日本におけるSDGsとICTを組み合わせた有望ビジネスとして10分野をピックアップしています。

 「特に私が注目するのは防災・減災、都市・地域、農業・食料の3つです。これは日本の国家安全保障にとって非常に重要な問題になっており、放置したままでは将来厳しい現実が待っています。早急に社会インフラや社会資本を作り変える取り組みが必要です。10分野の表層のみを理解するのではなく、その奥に潜む将来的なリスクまで想像力を巡らせて未来の社会的ニーズを読み解く必要があります」(境野氏)

 境野氏は、ここに挙げた2つのレポートを深く理解するには、一度、企業の目線から離れて、一市民の目線で読むことが重要とアドバイスします。

 「フラットな目線で自分や家族の健康・安全に対する“将来リスクが大きい”と思われる領域をピックアップし、その問題に対して企業としてどんな対策ができるか、という観点から自社のビジネスチャンスを評価する読み方をおすすめします。

 たとえば私が所属するNTT Comイノベーションセンターでは、SDGs17分野に対して複数のメンバーでディスカッションを行い、何も手を打たなかった場合にやってくる 2030年の“なりゆきの未来”に起こるリスクをピックアップしました。その中で、例えば激甚化する気象災害など、市民の目線から見ても特にインパクトが大きな問題に対して必要な対策を議論し、自社が貢献できることを具体化し、協力を仰ぎたい産官学民のプレーヤーのリストアップを進めています」

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