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2020.09.30

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第49回

SDGsを達成するためのICT活用“全球自律神経”とは?

著者 Bizコンパス編集部

SDGsへの貢献には、ICTの活用が有効

 企業がSDGsに貢献するには、そのための経営ビジョンを明確に示した上で、ICTをうまく活用する必要があります。総務省の報告書でも、SDGs達成を加速するにはICT活用が有効と書かれており、境野氏もICT活用の重要性を指摘します。

 「企業のSDGs貢献度を投資家に評価してもらうためには、自社の事業活動のバリューチェーンで使われるヒト・モノ・カネ・エネルギーの出自を調査・集計・可視化して、その健全性を証明する必要があります。それをすべて人手で行うのは困難で、ICTの導入による省人化や自動化が必須となるでしょう。産官学が連携し、IoTなどを活用して、業界や国境を越えてバリューチェーンのデータを集め、そのデータを円滑かつ安全に共有し開示できる仕組みが必要になります」(境野氏)

 では、各企業は、SDGsに貢献するためにICTをどのように活用していけば良いのでしょうか。境野氏は、意外にもサイバーセキュリティ対策のフレームワークが参考になると指摘しました。

 「サイバー攻撃やシステム不具合による被害を最小化し事業継続性を高めるセキュリティリスクマネジメントでは、①リスクアセスメント、②防御、③検知、④対応、⑤復旧の5段階で対策を考えるのが有効と言われています。気候変動対策など社会課題の解決においても、将来発生するリスクを最小化して持続可能性を高めるという点で共通点があり、同様のステップで対策を考えるのが有効ではないかと考えています。

 まず1つ目は、「リスクアセスメント」です。問題を放置することから生まれるリスクを洗い出し、各リスクの発生確率と、リスクが顕在化したときの物理的経済的損害や人的損失の大きさを査定して、優先的に軽減・解消すべきリスクを特定することです。

 2つ目は、そのリスクに対する「防御策」を張ることです。たとえば洪水に備えて防水壁や非常用電源を準備するように、問題が発生した場合の被害を最小化するため、前もって対策しておくことです。

 3つ目は、問題を早く「検知」できる仕組みをつくることです。たとえば気象観測データと過去の被災データをもとに台風被害を予知して工場の操業を一時停止させるように、データを分析して異変を早期に予知・発見し、利害関係者に知らせることです。

 4つ目が、問題発生時に被害を最小限にとどめる「緊急対応」、5つ目が、元の正常な状態にリカバリーし被害の再発防止策を講じる「復旧」です。

 「この5つのステップのうち、ICTをすぐ活用すべきプロセスは、問題の『検知』だと思います。バリューチェーンにおけるヒト、モノ、カネ、エネルギーの出自やフローを自動的に記録し、後からトレースできるようにして、たとえばCO2の排出量や従業員の残業時間が適正か否か、児童労働や紛争鉱物が使われていないかなどを監査して、問題を早く見つける仕組みが実現できるでしょう。

 さらに今後シミュレーションの技術が進化すれば、『リスクアセスメント』も、ICTを活用して、より高精度に実施できるようになるでしょう。現実の世界をサイバー空間上に写し取る“デジタルツイン”のテクノロジーを活用すれば、たとえば、気候変動に伴う風水害の多発が自社と取引先の事業活動に及ぼす中長期的な経済損失リスクなども、簡単かつ緻密に算定できるようになると思います。そのような仕組みを産官学民の協力によって実現する『ソーシャルリスクマネジメントプラットフォーム』をつくりたいですね」(境野氏)

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