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欧州発データ流通基盤「GAIA-X」に見る、With/Afterコロナ時代のデジタル戦略の進め方
2020.07.10

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第42回

欧州発データ流通基盤「GAIA-X」に見る、With/Afterコロナ時代のデジタル戦略の進め方

著者 Bizコンパス編集部

 新型コロナウイルスによるパンデミックは、働き方を大きく変化させました。感染防止の観点から人と人との接触を避けるべくリモートワークの導入が進み、会議はリアルからオンラインへと急速にシフトしています。このようなオフィスでの取り組みに加え、製造や物流といった現場でもリモート制御などによる対応が始まりつつあります。

 人との接触や行き来を避ける動きは企業内や国内にとどまらず、グローバルなバリューチェーンやサプライチェーンにも大きな影響を与えており、今後は人、モノ、カネが離れた場所で自律分散的に活動する方向に進んでいくでしょう。その際に必要となるのがシステムやネットワーク、IoTといったITを活用して離れた距離の人をつなぎ、モノ、カネの流れを把握するためのデータ流通プラットフォームです。

 このデータ流通プラットフォームは、単なる自社のサプライチェーンにとどまらず、自治体や市民といった社会全体を包括し、SDGsなどの社会課題を解決する巨大なプラットフォームである必要があります。

 すでに欧州ではクラウドプロジェクト「GAIA-X(ガイア・エックス)」でEU全域をつなぐデータ流通プラットフォームの社会実装を推進。これが実現すれば欧州のみならず、日本の企業にも大きな変革が迫られる可能性があります。

 今回はNTTコミュニケーションズ株式会社のイノベーションセンターに所属する境野哲氏を招き、「GAIA-X」を例に、With/Afterコロナ時代のデジタル戦略の進め方を解説します。

コロナ禍で浮き彫りになった日本企業の弱点

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、2020年4月1日に大幅な組織再編を行いました。再編の目玉の一つがデザイン、デジタルテクノロジー、ビジネスプロデュースを組み合わせた中長期的な新規事業創出部門「イノベーションセンター」の新設です。

 同センターのキーマンの1人がスマートファクトリー推進室、スマートシティ推進室も兼務する境野哲氏です。学生時代に経済学を専攻したという境野氏は、元々社会や政治経済に深い関心を持っていました。入社後にシステム開発やサービス開発といった技術的なキャリアを積み重ね、知見を深めたことで、社会課題をデジタルやITを活用したソリューションで解決する同センターの所属になります。

 「お客さまやパートナーと一緒に、製造、物流、交通などの分野の社会課題を解決するソリューションを創出する役割を担っています。以前より製造向けのIoTソリューションに携わっていたことから、3年ほど前からRRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)のワーキンググループ“IoTによる製造ビジネス変革WG”にも参加しています。

 さらにデータの社会的管理やグローバルなデータ流通への関心から、昨年10月同グループ内にサブワーキンググループ“グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG”を立ち上げ、日本の製造業界におけるデータ流通の基盤がどうあるべきかを議論し提言する取り組みを行っています」

NTTコミュニケーションズ
株式会社
イノベーションセンター
プロデュース部門
スマートファクトリー推進室/
スマートシティ推進室 兼務
境野 哲氏

 境野氏は「未来の社会に役立つ産業データを適切に管理・共有できる社会基盤(インフラ)をつくり、日本の産業力を向上」させることを目的として、RRIで製造業に限らず広い視野で検討を進めてきました。

 グローバルなデータ流通に知見を持つ境野氏は、今回の新型コロナウイルスで日本企業の抱える「デジタル化、データ共有・利活用の遅れ」という課題が浮き彫りになったと分析します。

 「海外渡航が制限されたことでグローバルなサプライチェーンが一部断絶する問題が起きています。2015年に経産省が提唱した“Connected Industries”では、企業、業界、国境を越えて、メーカーからコンシューマーまでのデータをオープンに共有して社会課題を解決するという目標を掲げています。しかし現実は、企業内ですらデータを流通させることが困難な状況です」

 課題としてはデータ流通システムを構築する以前に体系化されたデジタルデータがない、社内外のデータ流通を禁じているなどが挙げられます。しかしこれらの課題が解決できたとしても、複数企業間でデータを流通させる基盤が日本には存在しないと境野氏は語ります。

 「通信手順やデータ形式が不統一で互換性がない、OTとITがつながっていない、人の属性、知識をデジタル化できていないといった課題を解決する必要があります。With/Afterコロナの時代で大事になるのは国際標準対応であり、世界のどこにいても同じ形式、同じインタフェースでデータにアクセスができる仕組みをつくる必要があると考えています」

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