新型コロナウイルスの拡大が世界中の企業にネガティブな影響を及ぼしています。世界銀行は2020年の世界経済の成長率は5.2%減となるとの予測を発表。これは、第二次世界大戦以来最悪の景気後退だといいます。
日本国内に目を向けても、新型コロナウイルス関連倒産は6月22日現在、276件が判明(帝国データバンク調査)しており、その影響は小さくありません。
このような未曾有の経済危機の中、世界の経営者、そしてCDOたちはどのような舵取りを行っているのでしょうか。
今回は、2020年6月2日にオンラインで開催された「CDO Online Summit Tokyo 2020」(主催 一般社団法人CDO Club Japan)より、CDO Clubの創設者でCEOでもあるデビッド・マシソン氏と、一橋大学商学部の神岡太郎教授の講演をレポートします。
「COVID-19に立ち向かうグローバルのCDOの活動」と題して行われたプレゼンテーションでは各国のCDOたちの現状が紹介されました。
CDOの重要性はパンデミックでさらに高まっている
CDO Clubの創設者であるデビッド・マシソン氏は、新型コロナウイルスによるパンデミックで、デジタル変革が加速したと指摘し、大手IT企業トップの言葉をその裏付けとして紹介しました。
「マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏は、『(パンデミックが発生した)2カ月で2年分のデジタル変革が起きた』と言及しました。またBoxのCEOであるアーロン・レヴィ氏は『何年もかかるITの加速の動きが数カ月に凝縮された』と話しました。SAP SEの前CEOであり、現在はServiceNowのCEOを務めるビル・マクダーモットも『今回のパンデミックはデジタル変革を加速させた』と述べています」
コロナウイルスによるデジタル変革の加速は、CDOの採用にも拍車をかけ、さらにその重要性を高めています。
「5年前、私はあるジャーナリストに『2020年にCDOは生き残っているのか』と質問されましたが、2020年の状況をご覧ください。あらゆる業種の企業がCDOの採用を積極的に行っています。
特筆すべきは、2020年の最初の3カ月間で13人のCDOが上場企業の取締役に就任したということです。2019年は、一年を通して取締役に就任したCDOが6人だったので、すでに倍以上の結果です。これは、CDOが戦略的に非常に重要であることをCEOが認識した証拠でしょう」(マシソン氏)