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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.04.28

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第40回

大林組のIoTシステムは、リストバンドで作業員の安全を守る

著者 Bizコンパス編集部

センサ精度向上のため、リストバンド型へ移行

 今回のプロジェクトに技術者として関わった大林組の赤川宏幸氏は、技術的な観点から実証実験で抱えていた課題をNTT Comに持ちかけたといいます。

赤川:シャツ型のセンサは肌に密着させる必要があり、作業中に肌から浮いてしまうことで計測エラーが発生していました。センサの精度が低下すれば、危険な状況に対するアラートも信頼できなくなります。そう考えると手首から心拍に近い脈波をとれるリストバンド型のセンサのほうがトータルな精度が上がるのではないかと考え、NTT Comの森本さんに相談してみたのです。

森本:ご相談を受けて2018年度からシャツ型とリストバンド型を併用する運用を開始してみると、現場でも後者が「使い勝手がいい」と評判が良く、移行を決めました。タフな建設現場では端末が汗や水につかることもあれば、壁などにぶつかることもあります。「作業中には普段の2倍は汗をかく」など現場からの生の声を参考にしながら耐環境性能の検討も進めていきました。

赤川:続いての改善点は中継器として利用しているスマホです。スマホの操作が煩雑であることに加え、GPSでは作業員が建設現場の何階にいるのかという詳細が把握できないため、異常発生時の救助にも課題がありました。現場によっては機密漏えい対策でカメラ付きのスマホを持ち込めないこともあります。そこでスマホをなくし、リストバンドを装着するだけでスタンバイできる作業員ファーストのシンプルな環境を目指したいと考えていました。

 加えて建設現場では1日に3、4回、定期的にWBGT値を測定しますが、多くは事務所の近くの1カ所だけなのです。たとえばビルの建設現場では、屋上と地下では大きな気温差があり、WBGT値も変わってきます。このような環境の違いにも対応する方法も探していました。

森本:スマホレスのご要望も2018年からいただいており、社内で解決策の検討を進めていました。そこでたどり着いた結論は、スマホが不要で3種類のビーコン信号(30m、100m、300m)を連続発信できるリストバンド型センサです。併せてリストバンドの心拍データと大林組様が開発されたWBGT計のデータを収集するゲートウェイを現場の複数カ所に設置する提案をさせていただきました。

  ポイントは3種類のビーコン信号をゲートウェイで受け取ることで、利用者の位置情報を絞り込めるところにあります。最寄りのWBGT値をきちんと取得できるため、作業する環境の変化にアジャストした対応ができるのです。ビーコンの精度を確認するため、大林組様とともに2カ月ほど検証をしました。そこで300m先でも信号が届く、間仕切りのある場所でも信号が迂回することなどが確認できたので、現場に導入することになりました。

 また、システム構築はICTソリューションの高度な技術力、豊富な経験と実績を持つNTTコムソリューションズ株式会社と連携しました。基盤に採用したのはIoTプラットフォーム「Things Cloud」です。Things Cloudは、デバイスの接続からデータ収集、可視化、分析、管理などをプログラミングなしで実行できるので、今後導入台数が増えてもシステムを柔軟にスケールさせることできます。このようにして生まれたのが、大林組様の作業員向け安全管理システム「Envital®」です。

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