NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.04.15

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第39回

クボタはディープラーニングで焼却炉のエコ発電を目指している

著者 Bizコンパス編集部

目指すは2年後の商用化。そしてさらに先の展望も

 今回のプロジェクトでは実証試験を重ねたことで、1分先の蒸気量予測と実績が可視化でき、それに基づいた制御を行うというファーストステップが達成できた。更に実験を始めた当初と比較すると、蒸気量の無駄が約1%改善。これは環境省の資料に基づいて換算すると、発電効率が約3%向上したことに相当する。
間接的ではあるものの、ファーストステップが達成できた一因は予測モデルにあると西村氏は考えている。

西村:現時点では、当初想定していた「オンラインでつなぎ、予測を行い、結果に基づいたフルオートでの制御」は実現できていません。ごみ焼却炉の世界では、何度予測しても完璧に近い確証がないと認められないため、現時点では完全な自動制御は難しいかもしれません。しかし、今までより高い予測精度を実現したことで、経験や感覚に左右されていた現場技術者の作業を標準化することができます。AIによる高度な分析と人間の的確な判断を組み合わせたハイブリッド制御が現実的な落としどころだと考えています。

 NTT Comと一緒に取り組みを始めてから1年くらいですが、ようやく人間が行うべき部分、行わなくていい部分が明確になってきました。それを今年1年でより精緻なものとし、2021年には現場での試験を経て、うまくいけば2022年には自社の焼却炉に実装して提供を開始したいと思っています。実現できれば、間違いなくSDGsを羅針盤とするクボタの大きな強みの一つになるはずです。

末吉:ごみ焼却に限らず、上下水道といったインフラの安定運用には多くの人員が必要です。しかし日本は労働人口が減少しており、限られたマンパワーで多くのインフラ設備を支えなければなりません。このような人材不足や技能継承が困難な状況にこそ、AIを使って自動化できる運転支援システムが必要になると考えています。

 いままでわからなかったことがデータ分析でわかるようになった今回の施策は、一つのショーケースと捉えています。今後はごみ焼却施設だけではなく収集車や産業廃棄物の排出など、ごみ処理を取り巻く環境づくりに取り組みを拡大していきたい。さらには弊社の環境関連の製品・サービスにも、今回のプロジェクトで得た知見を広げていく計画です。

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