DXの潮流、CDOの挑戦
2020.04.15
デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第39回
クボタはディープラーニングで焼却炉のエコ発電を目指している
著者 Bizコンパス編集部
プロジェクトを加速した、圧倒的なスピード感
現場でプロジェクトの指揮を執ったのはクボタの西村和基氏。NTT Comとのプロジェクトは順調な滑り出しだったと振り返ります。
西村:まず驚いたのがスピード感です。APIでデータベースに接続して、Node-AIにデータを取り込む一連の作業が瞬時に終わり、わずか1日で実証試験の環境が整ったのです。NTT Comとしては当然のことかもしれませんが、私たちにとっては大きな驚きでした(笑)。
早速、AIが焼却炉制御に有効であることを確認するために、1分先の蒸気量予測に目標を定め、Node-AIによる初期検証を開始しました。ごみ焼却のさまざまなプロセスが可視化でき、極めて短いスパンで異なる状況に合わせて多様な原因が抽出できることは、プロジェクトを前進させる大きな力になってくれると感じました。
島田:Node-AIはコラボレーションツールだと考えています。現場の知見がないと意味のある予測モデルを作ることができません。これまで私たちには、ごみ焼却炉の知識はありませんでした。そのため、まずは焼却炉の仕組みや各プロセスの関係性など、細部にわたって質問しました。根気強く丁寧に教えていただいた西村さんのおかげで、最初の予測モデルを仕上げることができました。
西村:しかし、当初の一般的なAIを使った予測モデルでは、期待通りの結果が出ませんでした。そこで私たちとNTT Comで議論を重ね、ITやエンジニアリングといった双方の知見を共有したうえで改善のアイデアを出し合い、一般的なAIをディープラーニングに切り替える決断をします。その結果、第1ステップの目標である1分先の蒸気量を予測できるモデルが生成できました。今回の取り組みにおいては、互いの専門知識を共有し、緊密な連携で一丸となって推し進められたことが目標達成の大きな力になったと思っています。
