NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.04.15

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第39回

クボタはディープラーニングで焼却炉のエコ発電を目指している

著者 Bizコンパス編集部

 株式会社クボタ(以下、クボタ)は創業より水道などの持続可能なインフラを提供する事業を続けてきた実績を生かし、SDGsを羅針盤とした「グローバル・メジャー・ブランド・クボタ」として事業を展開。環境と農業をコアテーマとした豊富な製品やサービスを通して多くの顧客から信頼を獲得し、より広い社会への貢献を目指しています。

 2018年夏より、SDGsに基づく取り組みの一環としてクボタとNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、ディープラーニングを活用した、ごみ焼却炉における蒸気発電の効率を高める実証試験を進めています。

 このプロジェクトはどのようなきっかけから始まり、どのような展望が描かれているのでしょうか。クボタの末吉康則氏、西村和基氏、そしてNTTコミュニケーションズの清水 美寿氏、島田 健一郎氏に話を聞きました。

【株式会社クボタについて】

1890年創業、日本初となる水道管の国産化や農業の機械化を実現。現在は「For Earth, For Life」を旗印に農業機械や建設機械などの機械部門、鉄管や環境リサイクル、膜ソリューションなどの水・環境部門の製品、サービスの提供を通じて、食料・水・環境に関わる地球規模の課題を解決し、グローバル社会の発展に貢献している。

URL:https://www.kubota.co.jp/

経験と感覚による制御にAI・ディープラーニングを活用する

 このプロジェクトを統括するクボタの末吉康則氏は今回の取り組みの背景ときっかけを次のように語ります。

末吉:ごみ焼却炉では、ごみが燃焼する際に発生する熱から高温高圧の蒸気をつくり、蒸気タービンを回転させることで発電を行う取り組みが進んでおり、その普及促進に向けて国も交付金を出しています。しかし投入するごみの性質や形状により蒸気量が変化することに加え、制御に関係するパラメーターが多数存在するため、蒸気量の制御が難しいという課題があります。

 しかも小型の焼却炉は発電効率が低く、支援を受けても収益化できないケースがほとんどでした。焼却炉の制御判断も技術者の経験により異なり、介入操作の標準化も進んでいません。そこで焼却炉の各種データを分析し、蒸気量を予測した制御ができれば、発電効率を高められ焼却炉発電の普及に寄与できると考えたのです。

西村:取り組みをスタートしたものの、当初は思うような成果が出ていませんでした。約300項目にわたる焼却炉の制御データから、どの項目が蒸気量に影響するかを手作業で絞り込み、検証をかけるにはあまりにも時間がかかりすぎてしまうのです。そんな折、NTT Comより提案を受けたのが、現場の技術者が経験と感覚で制御していた領域にAI/ディープラーニングを活用して検証を大幅に効率化するというものでした。また、コードを書くことなく直感的に操作できるAI解析支援ツール「Node-AI」も魅力的でした。

清水:クボタ様とNTTグループは、2016年に「クボタ&NTTグループ連携協議会」を発足し、クボタ様の持つ水・環境や農業のノウハウ、NTTグループのITに関するノウハウを融合させることで社会的課題を解決する新たな製品・サービスの創出に取り組んでいます。私たちには過去にディープラーニングを用いて、化学プラントの制御改善を行った世界で初となる実績がありましたので、今回はこの知見をクボタ様の取り組みにも生かせるのではないかと考えました。

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