Bizコンパス

中部電力とNTT Comはどうやって点検データを「見える化」したのか
2020.04.10

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第38回

中部電力とNTT Comはどうやって点検データを「見える化」したのか

著者 Bizコンパス編集部

 中部地域におけるエネルギー供給を長年に渡り支え続けてきた中部電力株式会社(以下、中部電力)。同社の新たな成長分野として掲げられているのが「コミュニティサポートインフラ」です。これは「デジタル化」「お客さま起点」「低炭素化」をキーワードとして、電力・情報通信ネットワークと最新デジタル技術を活用し、顧客、地域、コミュニティが抱える課題を解決するための既存のエネルギーインフラの発展形です。

 このようにデジタル化のために、積極的な新技術の活用に取り組む中部電力では、2017年ころからIoTを活用するための検討が進められていました。ここで得られたデータを活用するために、必要となったのが共通プラットフォームです。このプラットフォーム構築のパートナーに選ばれたのがNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)でした。

 中部電力はなぜNTT Comをパートナーに選定したのでしょうか。また、IoTが実現する未来について、中部電力の中村聡氏と三山恭弘氏、NTT Comの山澤雄氏、鈴木彩氏に話を聞きました。

【中部電力株式会社について】

1951年設立以来、中部地域におけるエネルギー供給を長年に渡り支え続けてきた。2020年4月に送配電事業を担う中部電力パワーグリッド株式会社と、電気販売事業やガス事業を展開する中部電力ミライズ株式会社、そして持株会社(中部電力)に分社化。コーポレートスローガンは「むすぶ。ひらく。」であり、このメッセージには、人と人、人と社会をつなぎ、結び合わせることでこの先もコミュニティを支え、そして人の可能性と未来をひらいていきたいという思いが込められている。

URL:https://www.chuden.co.jp/

最初はIoTシステムを手作りして社内に配布していた

中部電力がIoTの取り組みを始めたきっかけは点検データの取得をデジタル化することでした。しかし、そのスタートは自作のIoTシステムをさまざまな部署に配るという地道な活動だったといいます。

中村:お客さまに安定的に電気をお送りするため、電力設備、電力ネットワークは当社の通信ネットワークを通じ、常に監視、制御されており、電力供給に支障を与える可能性がある障害や故障は、すぐに検知できるようになっています。

 しかし、障害を未然に防ぐための確認や点検は、現地で人が行っているものがまだ少なくありません。これらの点検データの取得をデジタル化し、一元的に管理・分析することができれば、電力設備や電力ネットワークのさらなる効率的な運用につながるとの期待から、IoTへの取り組みをスタートしました。 

三山:取り組み始めた当初は、安価なセンサーを組み合わせたシステムを手作りし、試行・検証を希望する部署に配りました。まずIoTを使ってもらう。そして、どういったことができ、どのような効果が得られるのかを考えてもらい、結果をフィードバックしてもらうという活動をしました。

 当初は「これは何だ?」といった反応が大半でしたが、活動を続けるうちに「こういうものを活用した改革はどんどん進めていくべきだ」という意見を持つ社員が徐々に増えてきました。「ここに活用したらこんなことができた」とか「こう使うことで業務が効率化するんじゃないか」といった声が聞かれるようになり、IoTの活用に向けた取り組みが本格的に始まりました。

中村:IoTの活用について模索する中で、得られたデータを一元管理するための共通プラットフォームが必要だと考えました。IoTの観点で言えば、現状は各メーカーが提供する個別のサービスを利用して監視するような形が一般的です。

 しかし我々はコストや効率の観点から目的に応じて最適なIoTデバイスを選定し、なおかつ包括的なプラットフォームで運用したいと考えていました。そういったことができるプラットフォームを探し始めたところ、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)から提案を受けたのが「Things Cloud®」でした。

山澤:IoTプラットフォームである「Things Cloud®」の導入で、IoT機器を一元管理し、そこから得られるデータをグラフなどで見える化することが可能になります。NTT Comには、Things Cloud®を活用し、設備保全主業務の高度化や効率化を達成してきた実績があったため、中部電力様の生産性向上にも寄与できるのではないかと提案させていただきました。

 また中部電力様が考えている、データの有効活用による新サービスの創出という取り組みは、DX Enablerを目指すNTT Comとして、ぜひサポートしたい案件でもありました。

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