第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスの開始が、いよいよ目前に迫ってきました。5Gは、ビジネスにどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。「第16回 itSMF Japanコンファレンス/EXPO」(2019年11月29日開催)では、株式会社NTTドコモの中村武宏氏が「5Gのリアルと未来」と題した講演に登壇。NTTドコモの5G導入計画、これまでの取り組みの経緯、注目のユースケース、洗い出された課題などについて語りました。
ラグビーW杯でつかんだ確かな手応え
移動通信システムいわゆる携帯電話の通信の仕組みは、ほぼ10年ごとに進化しています。1980年代の1Gはアナログ方式の音声通信網、1990年代の2Gはデジタル方式になり音声に加えて低速データ通信が可能になりました。
2000年代の3GでW-CDMAなどの高速データ通信になり、2010年代の4GはLTEなどによりデータ通信のスピードが飛躍的に向上。2020年代に5Gの時代が幕を開け、さらなる超高速データ通信が実現されようとしています。

中村氏は、移動通信システムの進化でキーポイントとなってきたのが「高速・大容量化」だと語ります。
「現在、データ通信の大半をYouTubeなどの動画トラフィックが占めています。SNSの普及に伴い自撮りの動画をアップロードする機会が増え、下りのダウンロードのみならず、上りにも高速・大容量化が求められています。5Gには、こうしたニーズに対応できる先進の機能、仕様が搭載されています。東京オリンピック/パラリンピックの開催に先駆け、2020年春に商用サービスとして5Gの提供を開始する計画です」(中村氏)
NTTドコモは、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕に合わせ、2019年9月20日に5Gのプレサービスを開始しています。日本全国8つの競技会場に5Gの基地局を設置し、レンタルの対応端末でマルチアングル視聴などのサービスを提供しました。汐留の会場では臨場感溢れるライブビューイング上映も開催し、いずれも日本代表の奮闘も相まって大いに盛り上がったといいます。
「私も何度かスタジアムに足を運びました。試合開始直後は生で観戦しているのですが、会場の雰囲気に慣れると5G端末のディスプレー上に映し出されたマルチアングルでの試合観戦が楽しくなり、つい端末を操作しがちになります。新感覚のスポーツ観戦として、サービスの有効性を肌で実感しました」(中村氏)

NTTドコモは、日本中を熱狂に巻き込んだラグビーワールドカップ終了後も、さまざまなパートナーとの協創を進めています。
「オープンイノベーションの時代、私たちの力だけでは市場ニーズに応えられません。多くのパートナーと協力して、新たな価値創出、社会的課題を解決するサービスづくりに挑戦しています」(中村氏)